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「原則廃止」 [マーケティング]

新しい政権がスタートしました。

早速新大臣からつぎつぎに方針が打ち出されていますが,テレビでお馴染みの原口総務大臣がこんな方針を打ち出しました。
【日経新聞:国の出先機関「原則廃止」 総務相が方針】
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090917AT3S1701417092009.html

国と地方の二重行政をやめるため,国の出先機関を原則廃止にするという意向です。

このニュースをみてふと思ったのですが,日本はこの「原則」何々というのが好きです。そしてもっと大好きなのが,それに続く「ただし××の場合は」という条件。

普通これだけをみると,原則が主で「ただし」が例外なのですが,政治に限らず日本ではどうも「ただし」が主になっているケースが非常に多い気がしませんか?

例えば金融機関のサービス。ローンを組むときになど,こちらとしては今の自分なら一体いくら借りれるの?ということが知りたいのに,延々と「ただし」に関する説明があります。
またこちらに来るとき,某引っ越し大手の海外引っ越しサービスの見積もりをお願いしたのですが,訪ねてきた営業マンがまさにこれ。延々と「この場合は」「ただし」の連続。それも含めて見積もりはいくらなんだと聞いているんでしょう,と最後はキレてしまいました。

サービスを提供する側からすれば,あとからクレームを受けるのも嫌なのでしょうし,とにかく問題が起きないように予防線を張りたいのでしょう。しかしこれをやるとせっかくのサービスの威力が台無しです。何よりも完全な売り手発想のマーケティングです。

最近それが顕著に見えるのが,インターネット接続業者のキャンペーンです。光ケーブルへの切り替えを促進させようと,どこの業者も割引や無料キャンペーンを売っています。私が契約しているこのソネットも,ストーカーかと思うぐらい携帯電話に営業電話です(ホントいい加減にしてね)。

それはさておき,彼らはそうして魅力的な価格を打ち出しているのですが,しかし私は切り替えをしていません(ADSLのまま)。切り替えたくないわけではありません。ちょくちょく各社のサイトを見ながら検討はしているのですが,とにかく「ただし」「〜の場合」が多くてわかりづらい。最後はもう検討する気もなくなります。

せっかくキャンペーンを打つのであれば,「ただし」はよほどのケース以外はつけるべきではないと思います。「今契約すれば3ヶ月無料。ただし解約した場合は正規料金」ぐらいにしないと,キャンペーンの効果などはなくなります。「原則」と打ち出す場合は,99%は原則通り。「ただし」や「場合によって」はめったにないケースにしないと意味がないと思います。

国の規制緩和も同じ。規制緩和の効果を出したければ,この例外をほとんど作らないことがポイントだと私は考えます。マーケティングと同じく,施策の効果は理屈ではなく人々の感情に左右されるのですから。



感情マーケティング―感情と理性の消費者行動

感情マーケティング―感情と理性の消費者行動

  • 作者: アルジュン チョードリー
  • 出版社/メーカー: 千倉書房
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本



なぜ高くても買ってしまうのか 売れる贅沢品は「4つの感情スペース」を満たす

なぜ高くても買ってしまうのか 売れる贅沢品は「4つの感情スペース」を満たす

  • 作者: マイケル・J.シルバースタイン
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2004/01/08
  • メディア: 単行本



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自民党の敗因 [マーケティング]

総選挙狂騒曲が続いていましたので,更新は控えておりました(ニュースがないので)。

ただせっかくなので経営というかマーケティングというか,そんな視点で1点だけ。

今回の自民党の大敗の要因として,ネガティブ・キャンペーンの存在を指摘させていただきたいと思います。

敗北は,選挙前からもうどうあがいても仕方のない状態でした。それだけに自民党としてはいかに負けを小さくするかということと,次につながるよい負け方をすることが本当の選挙の目標となるべきだったと考えます(もちろん個別の議員はそうではないです)。

ところが自民党の選挙戦略は最悪だったと私は考えます。醜いまでのネガティブ・キャンペーンに特化したからです。もう選挙が終わったのでリンクを貼っても大丈夫だと思いますので,以下の2つのアニメ広告を見てください。



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世論調査の信憑性 [マーケティング]

朝日新聞が今回の総選挙に関する世論調査の結果を発表しました。

【朝日新聞:民主300議席うかがう勢い 朝日新聞、序盤情勢調査】
http://www.asahi.com/politics/update/0820/TKY200908190451.html

この結果によると,民主党は300議席をうかがう勢いで圧勝の可能性が高いとのこと。ただこの調査結果はどこまで信憑性があるものなのでしょうか。

このブログで再三指摘していますが,世論調査やアンケートは必ずその「実施方法」をみなくてはいけません。どのような方法で調査を行われたのか。とくに調査対象者の属性や調査日時をみるだけで,その調査がどこまで信頼できるものか,逆に少し疑ってみた方がよいのかがわかります。

そこで今回の調査ですが,調査概要は次のようなものです。

〈調査方法〉 全国300の小選挙区のうち半分の150を全体の縮図になるよう統計的に選び、18、19の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で調査した。選挙区、比例区それぞれの投票先などを尋ね、選挙戦序盤の全体情勢を探った。有効回答の目標数は選挙区ごとに400人。  作成した番号サンプルのうち、有権者のいる家庭用番号にかかったのは全国で計9万1411件で、うち6万277人から有効回答を得た。回答率は66%。 (以上引用)

まず気になったのが調査の日時。18日19日といえば平日です。何時に(何時から何時まで)調査をしたのかわかりませんが,平日,それも多くの人にとって夏休み明け直後の期間に,いきなりかかってきた電話で回答できる人という段階で回答結果にはバイアス(偏り)があることはあきらかです。

さらに,これは以前から多くの専門家が指摘していることですが,無作為作成に番号に電話をかけるRDD方式は,最近の人々のライフスタイルを考えるとあまり妥当な調査方法とはいえません。なぜならおそらく作成された電話番号は固定電話の番号のはず(選挙区を特定できるように)。

しかし皆さんご存じのように,固定電話の加入者数は年々減り続けています。とくに若年層の単身世帯では,携帯電話しかもっていない場合が非常に多くなっています。またIP電話やSkypeなど電話通信手段が多様化して,RDD方式で抽出できない電話番号も増えています。

つまり今回の調査結果は,基本的に若年層やサラリーマンの意見を十分反映していない可能性があるということになります。若年層の投票率が上がって思いもかけないような投票行動をした場合には,民主党がこれほど議席をとれないかもしれませんし,逆にもっと圧勝するかもしれません。

もちろん,いつものテンプレート的記述=○○によっては結果が大きく変動する可能性もある=はありますが。

ただこのような調査が果たして必要なのか,最近疑問に思います。ギャンブルではないのですから,ほかの人がどう行動しようと考えているかを事前に調べるよりも,各党の政策(マニフェスト)をもっと丁寧に検証するとか,争点をわかりやすく読者に伝えるとかのほうがよほど大切だと思うのですが,いかがでしょう。



「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

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  • 作者: 谷岡 一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 新書



データの罠―世論はこうしてつくられる (集英社新書)

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  • 作者: 田村 秀
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 新書



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トヨタ マーケティング統括会社設立へ [マーケティング]

経営再建中といっても過言でないほど苦戦中のトヨタですが,興味深い取り組みを始めます。

【日経新聞:トヨタ、マーケティング統括の新会社を12月設立】
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090728AT1D2805D28072009.html

トヨタ自動車は28日、マーケティングを統括する新会社を12月に設立すると発表した。広告・宣伝などの機能を一元的に管理し、顧客や現場の声を商品開発や販売戦略に反映させる狙い。6月末に就任した豊田章男社長が統括会社の会長を兼務、トップ自ら陣頭指揮をとりマーケティング改革を本格化する。(以上引用)

ちょっと前にとある筋からこの話は聞いていたのですが,記事にもあるようにマーケティング機能と言うより広告宣伝の機能の一元化という方が正しいような気がしますし,誤解を恐れずに言えばハウスエージェンシー(特定の企業または企業グループのみの広告業務を行う広告会社)に近いように思います。

もともと自動車の開発は消費財のように,消費者の声をダイレクトに反映できるものではないですし,非常に長いスパンでおこなわれるものです。そのため製品開発については,いわゆるマーケティングのセオリーがそのまま反映しづらい業界とも言えます。

それに顧客の声を商品開発に生かそうとすれば,子会社化することはむしろマイナスに作用することが多いといえます。いくらグループとはいえ,違う組織間での情報共有がスムーズにいくことはまずないからです。トヨタ本体と新子会社は,クライアントと業者の関係になるわけですし。

おそらく膨大な広告宣伝予算が,効率的に運用されていないという問題意識があったのでしょう。言葉は悪いですが,大手広告代理店に相当「抜かれていた」でしょうし。子会社を作ることで,そのムダなコストを絞り上げることが一番の目的ではないかと,私は思います。


トヨタ・ショック

トヨタ・ショック

  • 作者: 井上 久男
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 単行本



トヨタ式 カイゼンの会計学

トヨタ式 カイゼンの会計学

  • 作者: 田中 正知
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2009/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ザ・トヨタウェイ(上)

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  • 作者: ジェフリー・K・ライカー
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2004/07/22
  • メディア: 単行本



トヨタが消える日 利益2兆円企業・貪欲生産主義の末路

トヨタが消える日 利益2兆円企業・貪欲生産主義の末路

  • 作者: 鬼塚 英昭
  • 出版社/メーカー: 成甲書房
  • 発売日: 2009/03/11
  • メディア: 単行本


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消費者ニーズは萎えたのか? シャープペンの事例 [マーケティング]

最近のマーケティングの教科書やセミナー,ビジネス雑誌などでよく言われること(書かれていること)。それは「多くの商品で市場が成熟化し」「消費者が欲しいと思う商品がなくなってきている」ではないでしょうか。それだけに,そんな「成熟市場」でブレイクスルーした商品は,ビジネス雑誌で注目されます。例えば,

【プレジデント:年間300万本! 三菱鉛筆「技ありシャーペン」開発秘話】
  http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2009/20090629/11228/300/

文具業界という成熟市場。さらに、少子化という厳しい環境で、三菱鉛筆は、なぜヒット商品を生み出せたのか。「機械屋さん」と「マーケッター」の妥協なき商品開発の現場をレポートする。

この記事では「ニーズが萎える」という表現を使っていますが,なるほど文具業界(この記事ではシャープペンシル)は成熟市場であり,そこで300万本を売るとはすごいことでしょう。

しかし私が注目したのは「消費者ニーズが本当に萎えているのか」という点。私はこれはウソだと思います。ユーザーイノベーションの研究をしていると,どんな商品にも満たされない消費者ニーズが,依然として溢れかえっていると確信します。

一般的に「消費者ニーズが萎えている」と言われている現象は,メーカーに都合のよいニーズが萎えているだけのことなのです。つまりメーカーが満足するだけの市場規模をもったニーズを発見することが難しいのであり,決して消費者自身が何が欲しいのかわからなくなっているという状態ではないのです。

例えば事例のシャープペン。さすがに最近は使うことが減りましたが,それでも私はこの商品に対して満たされていないニーズが山のようにあります。例えばキャップについている消しゴム。消しにくいことに加えて,すり減っても補充ができない。万年筆にもボールペンにもない,シャープペンの大きなアドバンテージは「文字を消せること」だと私は思っています。それなのに,消しゴムがすぐになくなってしまうのは大きな不満です。わざわざ別に消しゴムを内ポケットにはいれませんし。

このニーズに対して,もちろんメーカーは「換え消しゴム」を販売しています。例えばパイロット社から出ている商品は5個入りで105円です。ただ高性能なシャープペンならよいですが,出先でちょっと使うシャープペンは100円も出せば買える時代です。つまり替え消しゴムの値段で新しい商品が買えてしまうわけです(環境問題がどうとかいう突っ込みはなしで)。

それにシャープペンシルの消しゴム問題は,私の生活の中では重要度は高くありません(当たり前ですが)。あるとき出先でペンを使っていて,「あっ消しゴムがすり減っていた」と気づいて困るのですが,だからといって「帰ったらすぐに補充しないと」手帳にメモするわけでもありません。とっさのときにどうやって問題を解決すればよいのか。これが私のシャープペンに対する不満であり,ニーズの一つです。

さてメーカーはこのニーズを解決することができるでしょうか。おそらく解決は可能でしょうがあえて取り組む必要性を感じない,というのが正しい答えなのではないでしょうか。コンビニなど替え消しゴムの販売チャネルを増やしたり,補充機能を装備した商品の開発も可能なのでしょうが,それはメーカーが満足するだけの市場規模,もっと言えば売り上げと利益が期待できないので実現されないわけです。

しかしこれは「ニーズが萎えている」わけではなく,メーカーの都合で「ニーズを見極めている」だけなのです。これは極めて大きな違いです。メーカーやマーケティング研究家は消費者のニーズが多様化してきたと,20年近く前から言い続けてきました。それは事実でしょう。ところがメーカーのモノ作りのシステム,評価のしくみ,モノの考え方は20年間ずっとある程度の規模を前提とするものであり続けました。ニーズに本当に応えようとするなら,仕組みそのものも変化させなくてはならないはずなのに。


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マックのサプライズ [マーケティング]

チェーンストアは,全国どこでも同じサービスを提供することが基本です。顧客にとってみれば,どこへ行っても同じ質のサービスを安心して受ける事ができますし,企業からすればそうする事でいわゆる規模の経済性を発揮することができます。ただ,地域の細かなニーズに対応することができないために,ときにはつまらないサービスに陥りがちです。

そのようなチェーンストアの代表格であるマクドナルドで,ちょっと気の効いたお話です。アメリカ・ミシガンでの出来事のようですが,15年も地元のマクドナルドに通い続ける100歳のおばあさんに,お店からのサプライズです。

【ZAKZAK: マックのサプライズ!100歳女性にプレゼント】
http://www.zakzak.co.jp/top/200906/t2009061048_all.html

彼女の家族にまで根回しをするなど,用意周到にこのおばあさんの誕生日をお祝いしたそうです。私が注目したのは,彼女の年齢を知っていた事。つまり店頭で商品のやりとり以外の会話もお客さんとしていたということです。

もファストフード店に行ったことのある人はわかると思いますが,そこでは「無駄」な会話は一切ありません。マニュアル化された接客トークがただ繰り返されるだけです。かなりご高齢という特殊な事情はあったでしょうが,しかしこのお店ではお客さんとの何気ない会話があったわけです。

日本ではモスバーガーが一部の店舗でこのような接客をしていることが,以前テレビでも紹介されていましたが,チェーンストアであっても個店レベルでやれることはまだまだあるということでしょうか。ちょっとした機転が,このお店を世界に知らしめることになったのですから。

しかしこのお店。きっと慎重にサプライズの内容を考えた事でしょう。なぜなら驚かせて過ぎて万が一にも心臓発作でも起こさせたら大変ですから。



ラーメン屋vs.マクドナルド―エコノミストが読み解く日米の深層 (新潮新書)

ラーメン屋vs.マクドナルド―エコノミストが読み解く日米の深層 (新潮新書)

  • 作者: 竹中 正治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 新書



マクドナルド化する社会

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  • 作者: ジョージ リッツア
  • 出版社/メーカー: 早稲田大学出版部
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)

成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)

  • 作者: レイ・A. クロック
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本



マクドナルドはグローバルか―東アジアのファーストフード

マクドナルドはグローバルか―東アジアのファーストフード

  • 作者: ジェームズ・ワトソン
  • 出版社/メーカー: 新曜社
  • 発売日: 2003/01/31
  • メディア: 単行本



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マックの1万2千円券 一度に使うとこうなる! [マーケティング]

先日,マクドナルドの景気をつかもう商品券のお話を書きましたが,それを一度に使うとどうなるか。

こんなバカバカしいことを,実際にやっているメディアがありました。でもこういうばかばかしさは大好きです。

それはこれです。


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常識とビジネスチャンス [マーケティング]

もうしばらくすると,日本では梅雨の季節に入ります。雨が降れば傘を差す。日本では常識ですが,お国が違えばその常識も変わってきます。

ここデンマークでは,雨が降っても傘を差さない人が大半です。日本に比べて大粒の雨が少ないことや,気候が乾燥しているということが理由かもしれませんが,本当に傘を差す人がまれです。結構びしゃびしゃになるような雨でもへっちゃらなのです。

昨日,足を伸ばしてスウェーデンのマルメという町に行きました。とはいっても,電車で30分足らず。大阪から京都へ出かけるような感覚です。こちらでも雨に降られました(決して雨男ではありません)。同じ北欧ですが,こちらは傘を差す人がデンマークよりも多いです。ただそれはデンマークと比べてというだけで,やはり傘を差さない人が大半です。雨が降ったとき,日本は99%が傘を差すとすれば,スウェーデンは10%,デンマークは1%といった感じです。

この光景を見ていて,2つの話を思い出しました。1つは,「アフリカで靴を売るための市場調査結果分析」の話。マーケティングの授業でよく使われる,非常に有名なエピソードです。

アフリカで靴を販売しようと考えたあるメーカーが,2人の市場調査員をアフリカに送ります。その結果が好対照でした。

調査員A「アフリカではほとんどの人が靴を履いていません。だから市場性はないです」
調査員B「アフリカではほとんどの人が靴を履いていません。だから大きな潜在市場があります」

もう1つは話というより,一冊の本のタイトルです。「エスキモーに氷を売る」


エスキモーに氷を売る―魅力のない商品を、いかにセールスするか

エスキモーに氷を売る―魅力のない商品を、いかにセールスするか

  • 作者: ジョン スポールストラ
  • 出版社/メーカー: きこ書房
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 単行本



魅力のない商品をいかにして売り込むか,というお話です。

デンマークやスウェーデンで傘を売る。皆さんならどういう方法を考えますか?
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政治とマーケティング [マーケティング]

民主党の小沢代表が辞任し,代表選挙が行われます。この間の民主党の動きを見ていて,この党はマーケティングの感覚を持った人はいないのだろうか,もったいないなあとつくづく思ってしまいました。

まず,せっかくのプロモーション期間を自分たちで短縮していることです。
企業に例えると,傷ついた自社ブランドイメージを回復させるための千載一遇のプロモーションチャンスが,今回の代表戦です。その善し悪しはともかく,ライバルの自民党はここ2回,全国規模でのキャンペーンツアーを展開し,そのたびに2人の総裁の突然の辞任という傷ついたブランドイメージをなんとなくチャラにしてきています。

民主党も同じようにやればよいのに,「色々な」理由から短期決戦。それもコアな顧客である党員やサポーター投票もしない限定的な選挙です。普段ならマスコミもほとんど取り上げない野党の党首選挙ですが,今回は自らが大キャンペーンをやって引きずりおろした小沢氏の後継者争い。政権交代の可能性もあって必ず報道してくれるのにもったいない話です。広告代理店に頼めば数十億円かかってもおかしくないようなプロモーションがフイになってしまいました。

もう一つは,キャンペーンのやり方です。とくに一貫性のなさ。
さすがに「内向き」だけでは問題だと思ったのか,急遽候補者同士の国民向けのディベートが企画されましたがこれもなんだか不思議。先ほど述べたように,国民それもコア顧客である党員・サポーターにすら投票権がないのに,その人たちに対して何をプロモーションしているのでしょう。例えるなら学校の生徒会長を選ぶのに,町中で街頭演説をしているような感じです。

このように書くと,次の民主党党首は総理大臣の可能性もあるのだから,国民に向けてメッセージを発信するのは当たり前という声も出てきそうですが,ならば党首選挙のやり方もそうすべきです。このやり方にすると決めたのなら,時間的制約のあるメディアの前でのセレモニー的な討論ではなく,投票日までそれこそ徹夜で民主党本部で議論し続ければいいこと。なにか中途半端な印象を受けます。やらないよりやった方がまし,よく言われる話は間違いで,一貫性のない「とりあえず」は多くの場合マイナスにしかなりません。

私は,政治の世界にももっとマーケティングを持ち込むべきだと考えます。これもこのように書くと,批判が飛んできそうです。実際に関西でよく見かけるがなり立て系の某コメンテーターは,選挙プランナーという仕事の特集のときに,「こんなもんに頼っているから政治はあかんのや。政治家っちゅうもんは自分の信念でやるもんや」と批判していました。

また私も何人かの政治家と実際に話をして,政治とマーケティングについて議論したことがあるのですが,ほとんどの人がこのコメンテーターと同じような反応でした。そして最後には「政治というのは色々な要素があるからね。マーケティングのようにはいかないのよ」と語ります。よくも悪くも「青臭い」タイプの政治家が多い民主党は,ひょっとしたらこのような意見の方が多いのかもしれません

ただこれは,一般社会にも多く見られるマーケティングに対する誤解の1つではないかと思います。どうもマーケティングは「顧客の顔色を伺って媚びるている」「自分たちがやるべきことを調査で見つけている」,というイメージを持たれてしまいます。色々な調査をやって顧客ニーズを探り,それにあった商品を提供することを意地悪な味方をするとこうなるのでしょう。とくに技術志向の強い企業の人は,ときどきこのような皮肉を言われます。
「メーカーとは,自分の信念で世の中に役立つもの,自分たちが作りたいものを作るのが仕事だ。そもそもマーケティングをやって客に媚びても,それがお客のためになるかどうかわからないし,それ以前に多くの客は自分の欲しい物がわかっていないのだから,調査をしてもわかるわけがない」

先ほどの政治家たちと同じです。しかしマーケティングの本質はそうではありません。マーケティングは自分のやりたいことを実現するために他者(とくに顧客)との接点を探る活動だと私は考えます。ですから自分の信念ややりたいことがない人には,マーケティングなどできはしないのです。

例えばアメリカ大統領選挙。やややり過ぎの面がありますが,オバマさんの演説にしても自分の言いたいことがちゃんとあった上で,どのようなたとえ話,どのような表現を使えばもっとも聴衆に受け入れられやすいのか,演説の効果を最大化できるのかが徹底的に練り上げられていると言われています。ただ自分の信念を思いつくままにしゃべっているわけではありません。



派手な広告宣伝や調査というのは,マーケティングを実行するための戦術の1つであり,マーケティングそのものではありません。マーケティングの本質は,自分のやりたいことと世の中のニーズのズレを調整し,自分の信念をわかりやすく,効果的に相手に伝えること。それは製品開発はもちろんのこと,政治にも,そして自分の人生にも求められる大切な「考え方」であり「スキル」だと思います。

なんか職場でうまくいかないなあと感じている方。ぜひマーケティング的発想を(なんだかタイトルから話がずれましたね)。



ドクター・オガワに会いにいこう。―はじめてのマーケティング

ドクター・オガワに会いにいこう。―はじめてのマーケティング

  • 作者: 小川 進
  • 出版社/メーカー: 千倉書房
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 大型本



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「4位」と「メダル圏外」? [マーケティング]

最近は自民党の御用新聞と化しているような読売ですが,また作為的な調査記事です。

もちろん調査については,作為はないのでしょうが,その記事タイトルの付け方です。

【読売新聞 首相ふさわしい人…小泉・舛添・麻生の順、小沢メダル圏外】

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090504-OYT1T00731.htm

記事を読むと,民主党小沢氏は第4位。それも前回調査よりもポイントを伸ばしているわけです。しかしタイトルは「メダル圏外」。

文章を書く場合,漢字とひらがなやカタカナでは,画数が多い漢字の方にまず注目が集まりがちになります。それも最初と最後の印象がどうしても強くなります。よってこの場合,「首相」「小沢」「圏外」という情報が読み手に強く印象づけられるように思います。

それにスポーツや競技会でもないのに,わざわざ「メダル」を持ち出すでしょうか? 何か「意図」を感じざるを得ません。是非これからも第4位以下を説明するときには,「メダル圏外」を使ってください(笑)。


以前も記事に書きましたが,調査結果はその分析手法や報告書の書き方で,どうにでも「操作」することができます。情報の読み手は,必ずその当たりを顧慮していかないとせっかくのデータを無駄に使ってしまうことになります。

とくに経営判断の材料となるマーケティング調査データは,十分に気をつけないといけません。データを分析してくる人たちの大半は,その企画を実現させるために一生懸命数字をよく「見せよう」としますから。


マーケティングリサーチの論理と技法

マーケティングリサーチの論理と技法

  • 作者: 上田 拓治
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 単行本



データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書)

データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 谷岡 一郎
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 新書



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