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マクドナルド 景気をつかもう商品券 [ビジネスモデル]

ユニクロと並んで,この不景気における勝ち組となっているマクドナルドですが,また“巧み”なマーケティング戦術をしかけています。

麻生内閣が打ち出した12,000円の定額給付金をターゲットしたクーポン券の発売です。

【マクドナルド 景気をつかもう商品券】
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2009/promotion/promo0513.html

定額給付金の12,000円で,マクドナル商品20,000円相当が買えるというものです。一見するとお得感がいっぱいですが,その内容を見てみるとマクドナルドの“巧みさ”が見えてきます。

まずはセットメニュー。やはりポテトしか駄目なのですね。もうすでに世間では知れ渡っていると思いますが,ファストフードでポテトはドル箱商品だと言われています。原価率が低いからです。サラダなど原価の高いと言われているものを選べないあたりが,非常に“巧み”です。

つぎにドリンク類。こちらも人気のあるシェイク類やおそらく原価が高いであろうと思われるカフェラテ系や野菜(フルーツ)ジュース類は外されている一方で,コーヒーが30杯分という大胆な構成です。

このように書くと,マクドナルドの施策を批判しているのではないかと思われるかもしれませんが,むしろ逆です。マクドナルドは自分たちのビジネスモデルの要諦が何であるかをよくわかっていて,常にそれにあった戦術を打ち出している優れた企業だと思っています。

マクドナルドのビジネス・モデルは,典型的な薄利多売。とにかく大量販売によって1個あたりの固定費を下げて利益を出していくことがミソです。この多売を実現させるためのクーポンであり,低価格商品ですし,その大前提である変動費をあげないための施策がポテトやコーヒーを販売の主軸から外さないことです。

ただ値下げに走り,自滅していく企業や小売業が少なくありません。低価格戦略には,それを裏打ちするだけのビジネスモデル戦略と,その戦略に沿った戦術が不可欠なのです。マーケティングには商品・価格・チャネル・プロモーションという4つの個別戦略があると言われていますが,じつは価格戦略はそのなかでもっとも実行が容易ですが,成功させることがもっとも難しいマーケティングの打ち手なのかもしれません。
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ttkman

そんな施策が出るんですね。
確かに仰るとおりで、バリュー価格といいながらも
コストアップの価格設定をしっかり、遵守していている
そんな姿が垣間見えます。

社内社外それぞれへのPRをしっかし、切り分けしている
ようですね。

たかが価格、されど価格ですかね。


by ttkman (2009-05-21 09:35) 

ドクター

ttkmanさん コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり,たかが価格,されど価格です。

価格は1秒で動かすことができるマーケティング戦術なので,ついつい安易に使ってしまいますが,じつはもっとも慎重に行わないと大やけどを負ってしまう危険な武器なのです。

不況→消費の低迷→値下げという安易な発想をやめないと,取り返しのつかないことになります。値下げの裏には確固たる「仕組み」が必要です。
by ドクター (2009-05-21 18:24) 

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