バンキシャ 虚偽放送問題 [研究]
日本テレビが制作している「バンキシャ!」という番組で,虚偽情報があったことが発覚しました。ついには日テレの社長が引責辞任するまでに,問題は拡大しています。
【産経新聞 バンキシャ虚偽報道で日テレ社長が引責辞任】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090316-00000574-san-soci
事の詳細については,以下のリンクをみていただければと思うのですが,問題の本質はここで書かれているような難しいことではないように思います。早い話,情報提供者の証言だけに頼り,裏取り作業を怠っただけだと思われます。
【iZa 衝撃事件の核心異例の立件「バンキシャ!」虚偽証言 日テレが乗った“迫真ストーリー”】
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/231783/
先日,このブログをきっかけに『marie claire』という雑誌から取材を受けました。テーマは不況に関するマスコミ報道についてだったのですが,そこで記者(ライター)の方と話題になったのが今日のマスコミの足腰の弱さと,その情報を鵜呑みにしてしまう国民の危うさでした。
本来マスコミのもっとも大切な役割は,事件の速報もさることながら,その検証作業です。多方面から事実を集めて,その事件の本質が何であったのかをしっかりと調べること,伝えることがマスコミに課せられた使命であり,それがしっかりしているからこそ第4の権力として国民から支持されるわけです。
しかし残念ながら昨今のマスコミは,取材対象から出される報道資料がそのまま使われているとしか思えないケースが少なくありません。確かに公式文書は大切な情報源です。しかし,取材対象から出される情報に,その取材対象にとって都合の悪い情報があるはずがありません。ですからその公式文書を,複数の情報源を使ってそれが真実であるか否かを検証しなくてはならないわけです。
私たち研究者の世界でも,この裏取り作業は丁寧にやらなくてはなりません。もちろん企業の広報資料だけで論文を書くことは可能です。またインターネットを使えば,楽に情報を集めることも可能です。
しかし楽をして集めた情報には,多くの危険が潜んでいます。とくに情報の信憑性については,クエスチョンマークがつくことが少なくありません。ひどい場合には,かつて国会で問題となった偽メール事件のように,悪意を持った人々の情報コントロールの手段として使われてしまいます。
今回の日本テレビの問題も,情報提供サイトと,そこを通じて現れた謎の情報提供者という,極めて楽な情報収集に頼った番組制作の当然の帰結なのかもしれませんし,それは『バンキシャ!』という1つの番組だけでも,日テレという1つの放送局の問題だけでもなく,業界全体の問題かもしれません。
それだけに私たちも,有名マスコミ情報によって発信されたのだから,とその情報を無批判に受け入れることは厳に慎むべきなのでしょう。私たち自身も,複数の情報源をもとに常に疑う姿勢を持つことが大切なのではないでしょうか。
【産経新聞 バンキシャ虚偽報道で日テレ社長が引責辞任】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090316-00000574-san-soci
事の詳細については,以下のリンクをみていただければと思うのですが,問題の本質はここで書かれているような難しいことではないように思います。早い話,情報提供者の証言だけに頼り,裏取り作業を怠っただけだと思われます。
【iZa 衝撃事件の核心異例の立件「バンキシャ!」虚偽証言 日テレが乗った“迫真ストーリー”】
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/231783/
先日,このブログをきっかけに『marie claire』という雑誌から取材を受けました。テーマは不況に関するマスコミ報道についてだったのですが,そこで記者(ライター)の方と話題になったのが今日のマスコミの足腰の弱さと,その情報を鵜呑みにしてしまう国民の危うさでした。
marie claire (マリ・クレール) 2009年 04月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: アシェット婦人画報社
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 雑誌
本来マスコミのもっとも大切な役割は,事件の速報もさることながら,その検証作業です。多方面から事実を集めて,その事件の本質が何であったのかをしっかりと調べること,伝えることがマスコミに課せられた使命であり,それがしっかりしているからこそ第4の権力として国民から支持されるわけです。
しかし残念ながら昨今のマスコミは,取材対象から出される報道資料がそのまま使われているとしか思えないケースが少なくありません。確かに公式文書は大切な情報源です。しかし,取材対象から出される情報に,その取材対象にとって都合の悪い情報があるはずがありません。ですからその公式文書を,複数の情報源を使ってそれが真実であるか否かを検証しなくてはならないわけです。
私たち研究者の世界でも,この裏取り作業は丁寧にやらなくてはなりません。もちろん企業の広報資料だけで論文を書くことは可能です。またインターネットを使えば,楽に情報を集めることも可能です。
しかし楽をして集めた情報には,多くの危険が潜んでいます。とくに情報の信憑性については,クエスチョンマークがつくことが少なくありません。ひどい場合には,かつて国会で問題となった偽メール事件のように,悪意を持った人々の情報コントロールの手段として使われてしまいます。
今回の日本テレビの問題も,情報提供サイトと,そこを通じて現れた謎の情報提供者という,極めて楽な情報収集に頼った番組制作の当然の帰結なのかもしれませんし,それは『バンキシャ!』という1つの番組だけでも,日テレという1つの放送局の問題だけでもなく,業界全体の問題かもしれません。
それだけに私たちも,有名マスコミ情報によって発信されたのだから,とその情報を無批判に受け入れることは厳に慎むべきなのでしょう。私たち自身も,複数の情報源をもとに常に疑う姿勢を持つことが大切なのではないでしょうか。
「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス (光文社新書)
- 作者: 好井 裕明
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/02/16
- メディア: 新書
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