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スタバがインスタントコーヒー? [ビジネスモデル]

規模拡大が目的化すると,大概の企業は没落していきます。

規模の拡大は,生産コストを低減させたり,広告効果を高めたりといった,いわゆる規模の経済性をもたらしてくれます。しかし,それはあくまでも経営目的を達成するための手段であって,目的ではありません。

企業経営にとって大切なことは,適正な利益を上げながらお客様満足を実現させることです。この両輪がうまく回らないと,少なくとも長期的な競争力を持つことはできません。そしてこの2つの目標を実現させるための手段の1つが,規模の経済性だと私は考えます。

ところが残念なことに多くの企業は,この規模拡大を目的化してしまうという病に取り憑かれてしまいます。
例えばダイエーは売上高や店舗数を増やすことを目的化させて,ひたすら膨張を続けましたが,ご存じの通り多額の負債を背負って破綻しました。またトヨタです。ほんの数ヶ月前まで世界屈指の優良企業と賞賛されたトヨタは,現在大きな赤字決算に直面しています。トヨタの不振は,確かに世界経済の影響もあったでしょう。しかし,トヨタはある時から明らかに規模拡大が目的化していました。生産台数世界一を達成するために,しゃにむに規模拡大に突き進み,それをもっとも手っ取り早く進められる北米市場への過度な傾倒をしてしまったことが,今日の不振を招いたというのは間違っているでしょうか?

実際,上記の企業は規模拡大の過程で,明らかに顧客満足を失うような現象を引き起こしています。ダイエーの場合は売り場の荒廃です。規模拡大に商品供給体制(ロジスティックス)が追いつかず,欠品を引き起こすことがしばしばありましたし,プライベートブランドにこだわるあまり,お客様が本当に欲しい商品が店頭になかったこともありました。
トヨタの場合,規模拡大が目的化しだした頃から,同社の強力な強みであった品質管理に問題が発生していました。リコール数の急激な増加です。価格を引き下げたり,よい商品を効率よく生み出すはずの規模拡大が,まったく逆のケースを生んでしまうわけです。

それにも関わらず,企業は数量ナンバーワンという魔力に取り憑かれ,破滅に向かっていきます。

前置きが長くなりましたが,同じ病気にかかっているのではないかと思われる企業のニュースがありました。スターバックスです。同社が米英で,インスタントコーヒー市場に参入するというものです。

【日経新聞 米スターバックス、インスタントコーヒー市場に進出】http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCQJ7603.html

日本市場での発売は未定ですが,ただ急激な店舗拡大によって同社のブランドイメージは大きく揺らいでいるという話も聞きます。大好きなスターバックスなだけに,少し心配です。


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