切手を貼って送れるキットカット

ロングセラー商品であれ，新商品であれ，売上が頭打ちになった商品の担当者は，売り上げ増加策に頭を悩ませます。新しいお客様を捜すのか（新市場開拓），それとも今のお客様に今よりももっと買ってもらうようにするのか（既存市場の深掘り）。いずれにしてもマーケティング力が試されます。

そんな取り組みに積極的な商品の代表は，ネスレが販売するキットカットです。ご存じの通り，ウエハースにチョコレートをコーティングしたお菓子ですが，この商品。市場を拡大するためにあの手この手を次々に繰り出しています。

まずは商品開発。チョコレートだけではなく，抹茶やイチゴ，夕張メロンといった色々な味のキットカットを投入しています。さらにはいわゆるご当地モノも多数開発し，全国各地の駅や高速道路の売店で展開しています。

つぎに用途開発とも呼べるようなプロモーションです。商品名が「きっと勝つ」に近いことをアピールして，いつの間にか受験シーズンの重要なアイテムとなっています。この受験生を狙ったプロモーション戦略は明治製菓のカールなど他の商品にも波及し，スーパーでは特設売り場が開設されるまでになりました。

そんなキットカット。今度は，切手を貼ればそのまま送ることができる商品を発売することになりました。パッケージの裏に住所やメッセージを書き，140円切手を貼って投函すれば相手に届くというもの。

【日経トレンディ】http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20080409/1009117/?ST=yahoo_headlines

なかなか面白い商品です。確かに受験生の必須アイテムとして，新しい用途を開発したキットカットですが，これまでのやり方では本人が買うか，その人にごく近い人が試験日直前に手渡しするというシーンでしか使われないものでした。

しかし簡単に郵送できるとなると，例えば遠くに住んでいる甥っ子や姪っ子にも気軽に「がんばれよ」と送れます。また受験に限らず，例えば好きなプロ野球の選手に対して，重要な試合の前に激励メッセージをつけて送る，なんてことも考えられます。プロモーションと組み合わせれば，また市場を拡大する可能性が出てきます（それこそ千葉ロッテや北海道日本ハムなどはこういう市場を開拓できるかも）。

マーケティングというと派手なイメージが強いかもしれませんが，実際は地道な活動，小さな努力の積み重ねです。空中戦よりも地上戦，それも匍匐（ほふく）前進の連続です。キットカットの取り組みは，改めてそれを思い出させてくれます。

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