環境偽装問題 [環境問題]
製紙会社が,再生紙の古紙配合比率を偽っていたことが次々に発覚しています。トップの引責辞任も始まっており,この問題はまだまだ尾を引いていきそうです。
マスコミはこれでもかというぐらいに追求を開始していますし,取引先であるコピー機メーカー(サービス会社)も一時的な取引中止措置をとりはじめています(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080118-00000002-fsi-bus_all)。 インタビューなどで消費者も「騙されました」と,製紙会社を批判しています。グリーン調達を推進してきた政府や自治体も,猛烈に批判をしています。
確かに製紙会社がやってきたことは「ニセモノ」を販売してきたわけですから,許されるものではありませんし,批判されるのも当然です。ただこの問題。本当に皆はこれまで気づいていなかったのでしょうか?
古紙を使っているといいながら,あれだけ紙が白いことに疑問をもった人は本当にいなかったのでしょうか。あれだけなめらかな表面を実現しているのは,本当に技術革新が進んだからだと思っていたのでしょうか。一般消費者は知識がないので,技術革新の成果だと言われれば信じるのかもしれませんが,少なくとも専門家である企業や官庁は気づかなかったでは済まされないのではないでしょうか。配合率ゼロの商品もあったと言いますから,これに気づかない購買担当者は即クビではないでしょうか。
どうも現在の日本では,「環境にやさしい」「エコ商品」という看板が掛かっていれば,企業も消費者も無批判で支持する傾向があります。もっと言えば「古紙を使っていればエコ」「CO2の排出量が少なければすべてよし」「買い物にはマイバック」という,極めて単純な発想で環境問題を考えてしまい,それに異を唱える人は極悪人のような批判を受けます。これでいいのでしょうか。
例えば今回の問題。先に述べたように「あの白さ」に疑問を持てば,少なくとも本当に環境問題を真剣に考え,エコに貢献する商品だから買っていた,という話は少しおかしい気がします。なぜならそれは偽装しているか,もしくは相当の漂白作業をしているとしか考えられないからです。偽装は論外として,漂白することで環境にかかる負荷を考えれば,その商品が全然エコ商品ではないことですから。
同じように,分別回収にも問題があります。分別回収が絶対的に正しいように思われています。しかしペットボトルやプラスチックトレイを分別回収するために必要となる「洗浄作業」。これに使われる水の使用量は考えなくてもよいのでしょうか。お風呂の残り水でペットボトルを洗っている人は,あまりいないように思います。
環境問題は色々なことが複雑に絡み合って発生している問題です。「リサイクル」「古紙」「CO2」といったよく聞く要因が引き起こしている単純な問題ではありません。もちろんすべてを考えて行動しろなどと言う気はありませんが,もっと多方面から環境問題を考えていく姿勢を持つこと,そして何か問題が発生したときに,表面的なバッシングに終止するのではなく,本質的な問題に目を向けることが大切だと考えます。
環境やエコというコンセプトは,企業にとっても消費者にとっても重要なコミュニケーション媒体であることは間違いないのですから。
環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024))
- 作者: 武田 邦彦
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