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子供に見せたくない番組:ロンハー4年連続1位 [マーケティング]

多くの企業は,自分たちの商品の満足度に対して敏感です。マーケティング・リサーチの結果が悪いと,社内は大騒動になることもしばしばです。何年も調査結果が悪いと,その商品はリニューアルされたり,最悪廃番になったりします。

しかしテレビ局は違うようです。4年連続ワースト1になりながらも,番組は続いています。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070516-00000120-jij-soci

それはどうしてでしょうか。考えられる答えは2つ。1つはテレビ局が厚顔無恥だから。もう1つは,このような調査そのものが馬鹿げているので,テレビ局は相手にしていないから。

前者については説明は不要でしょう。どんなに叩かれようと,これでいいと開き直っているということです。
問題は後者です。どんな場合にテレビ局は,この調査を「馬鹿げている」と判断するのでしょうか。

1つはターゲットが違う。今回の調査はPTAが保護者に聞いている調査なのですが,この番組のターゲットはそもそも保護者の関与が低下したもう少し年齢の高い層(例えば大学生など)を対象としているケースです。例えば,新しいビールの評価を小学生に聞くことは,まったく意味がありません。なぜならもともとその商品のターゲットでないから。

もうひとつは,テレビ局が顔色をうかがうべき相手が視聴者ではなく,別の人であるケース。先ほどのビールのたとえで考えてみましょう。実際にビールを飲むのは,その家庭のお父さんだったとします。そうするとビールに関するアンケートはお父さんにすべきように思えます。

しかしビールの「購買者」という視点で見たときは違ってくるかもしれません。飲むのはお父さんでも,買ってくるのはお母さんだったりするからです。そうなるとお父さんの満足度が低いビール(味が悪いなど)でも,お母さんの満足度が高いビール(値段が安い,重さが軽いなど)は,満足度が高くなります。今回のケースで考えると,視聴者は不満が多いけれど,スポンサーは大いに喜んでいるのでこれでよい,と判断したということになります。

どちらが正しいのか,また別の答えがあるのかわかりませんが,ここまで影響力のない調査を何年もやって,何の意味があるのか非常に疑問です。調査のための調査。少なくともビジネスの世界には不要です。

※マーケティング・リサーチについて深く考えた方にはこれがオススメ。

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