アマゾン・楽天・ヤフー② [ビジネスモデル]
昨日の続きです。
アマゾンの強みは,この決済機能をきちんと抑えている点です。最近は代引きサービスを導入していますが,かつてはカード決済が原則でした。つまりアマゾンで買い物をしたいのであれば,クレジットカードを登録しないとダメだったわけです。
自分自身のことで考えるとわかると思うのですが,ネット通販でカード番号を登録することは意外に勇気がいることです。悪用されないだろうか,情報が漏れるのでは,と心配が多いからです。
一方で,一旦登録してしまうとこれも意外なことに使うことには抵抗がなくなり,むしろその利便性ゆえに頻繁に買い物をするようになります。これが信頼や安心という不思議なものなのですが,いずれにせよハードルを越えさせてしまえば,その後は加速度的にこの決済機能の強みが出てきます。このように考えるとアマゾンはネット通販の世界で成功する要素を十分持っているということです。
もうひとつ注目すべきは,この信頼にまつわる部分です。楽天とヤフーは「他力本願」ビジネスからスタートしています。例えば楽天は自分たちのバーチャル商店街にテナントを抱え,その賃料で儲けています。つまり商売そのものは各テナントの力量によるもので,言葉は悪いですが楽天はその上前を頂いているに過ぎません。これはヤフーも同じ。オークションやショッピングは,出品者やテナントからの手数料で潤っています。両者は仲介ビジネスであり,大きなリスクは背負いません。
これに対してアマゾンは,書籍販売ビジネスでは自分自身が物流センターを持ち,在庫を抱えるというリスクを背負っています。また仲介ビジネスである古書販売も,決済部分はアマゾンが責任を持っていました。お金を払っても商品がこないという心配はなかったわけです。
おそらく今後やろうとしている仮想商店街事業では,楽天やヤフーと同じ手数料ビジネスになると思うのですが,これまで自前でリスクを背負ってきた,その信頼感は大きいと思います。なんとなくのイメージが,ネットビジネスでは重要な資産だからです。トラブルが多いというイメージが強いヤフーや楽天は,この点ではアマゾンにはかないません。
逆に言えば,仮想商店街事業でもアマゾンはこの信頼感を醸成する仕組みが必要だと思います。信頼とは構築することは難しいですが,失うときは一瞬ですから。
信頼の話をもっと勉強してみたい人はこれがオススメ。
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