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越後製菓 VS サトウの切り餅 [新商品開発]

非常に狭い業界の,ガチンコの戦いでしょうか。

お餅メーカーとして有名な越後製菓が,同じくお餅メーカー大手の佐藤食品工業を特許侵害で訴えたというニュースです。

【毎日新聞(Yahoo!) <切り餅>「切り込みは特許」 越後製菓が「サトウ」提訴】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090422-00000057-mai-soci

焼いたときにも形が崩れにくいように,お餅に切り込みを入れておくという越後製菓の特許を,佐藤食品の商品が侵害しているという訴えです。

最初の訳語が悪かったせいでしょうか,日本でイノベーションというと技術開発に関するもの,それも機械や科学
化学)といった理科系の世界の革新に限定されてとらえられる風潮があります。しかし,イノベーションとはもっと間口が広く,広範囲にわたるもので,このような切り込み1つでも十分なイノベーションと言えます。

裁判の行方はどうなるかわかりませんが,このニュースを読んで思ったことが2つあります。

1つは,どんな業界にもイノベーションの種はあるもんだなということ(もちろん以前からこの切り込みは知っていました。ただ特許まで取っているとは知りませんでした)。伝統的な食品,例えばこのお餅や納豆,豆腐などはイノベーションの余地がないように思われてきました。

しかし近年,この分野では次々に新しい革新が生まれています。例えば納豆では,ミツカンによってにおいを抑えたり,ビニール容器が不要なタレを使った納豆が開発されました。豆腐では男前豆腐店。派手な広告ばかりが注目されがちのこの企業ですが,商品の製法についても色々な革新に取り組んでいます(もちろん,派手な広告戦略も立派なイノベーションなのですが)。

多くの企業は「我が社が扱う製品は,もはやイノベーションの余地がない」などと泣き言を言いますが,革新の種はいくらでもあるということです。

もう1つ感じたことは,やはり製品イノベーションはすぐに模倣されるのだなということ。

神戸大学の加護野先生がすでに10年以上前に指摘していますが,これからの時代,模倣が容易な製品イノベーションを主体とした競争には限界があります。これだけ各社の技術水準が近くなれば,どんなに優れた製品を出しても簡単にキャッチアップされてしまいます。

仮に特許で縛りをかけたとしても,多くの製品分野で特許逃れが簡単なことは,メーカーの方なら誰もが知っていることです。やはりこれからの時代,製品だけではなく,事業のしくみでの差別化をつねに考えて行かなくてはならないわけです。



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