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大丈夫ですか マスコミの皆さん [マーケティング]

このブログでも再三取り上げていますが、どうも日本人(というより大マスコミ)は世論調査が大好きな割には、その内容があまりにもチープです。いや、こんな調査にどのような意味があるのかと。

今朝の読売新聞で取り上げられている、麻生内閣に対する支持率も突っ込みどころ満載です(笑)。誰が調査設計をして、実施しているのかは知りませんが、優秀な方々が多いはずの新聞社。大丈夫でしょうか?

【麻生内閣支持49・5%、「福田」発足時下回る…読売世論調査】

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080925-OYT1T00903.htm?from=top

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080925-00000063-yom-polとくに笑ってしまったのが、党首の人気。そもそも質問が「ふさわしい」という、非常に漠とした指標であることも問題なのですが、与党と野党の党首の人気を比べて何の意味があるのでしょうか。

これが頻繁に政権交代が起きている他の先進諸国ならわかります。しかし細川内閣を除いて、事実上政権交代を経験したことがない日本人が、野党党首を「ふさわしい」と選択するわけがありません。現にあの不人気に福田さんのときですら、小沢さんは勝てないわけで。たぶん選択肢が小沢さんではなく、民主党でも人気のある長妻さんでも結果は同じだったでしょう。

これは企業のマーケティング調査でもよく使われるトリックです。トリックのタネは2つです。

一つは今言ったように,保守的な回答者の問題。例えば,これは実際私が経験したのですが,携帯電話が自由化(売り切り)となる直前の話です。自由化によって,携帯電話は普及するでしょうかという質問に,大多数が「No」でした。それも携帯電話をこれから扱おうとする独立系の代理店ですら,9割以上は「普及が始まるのは5年以上先」と考えていました。しかし結果はご存じの通り。あっという間に市場が立ち上がり,一般の電話は駆逐されました。回答者は未来のことには回答できないのです。

一つは回答者の知識の問題。果たして今の日本人の中で,政治の状況についてちゃんと勉強している人はどれだけいるのでしょう。例えば,テレビに出てくるコメンテーターが「両党の政策には差はないでしょ」としたり顔で答えています。しかし彼ら(彼女)たちは両党の基本政策を一つも上げることができないでしょう。マスコミが流している、もしくはこのような適当なコメントをしているコメンテーターの話を再利用していることがほとんどなわけです。
その人たちに、このような調査をして得られた回答にどのような意味があるのでしょうか。調査はその目的がしっかりしていなければ,ただのゴミです(ただこれまでの記事を読む限り,読売新聞には明確な「意図」がありますけど)。

そろそろこのようなばかげた調査はやめにしてはどうでしょう。

何度も推薦していますが,この本を是非読んでみて欲しいです。



「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

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データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書 59)

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