SSブログ

仮説 マクドナルドの戦略 [マーケティング]

昨日のマクドナルドの話(http://d-mizuno.blog.so-net.ne.jp/2008-07-01)と,一昨日のコンビニの話(http://d-mizuno.blog.so-net.ne.jp/2008-06-30)。ともに身近な問題のせいか,いつもの3倍以上アクセスをいただきました。相変わらずアンケートは不人気ですが(笑)。

さて,いただいたコメントを拝見していて私もまた新しい仮説や発想が浮かびました。

nhamaさんのコメントで,客単価への指摘がありました(詳しくは昨日の記事のnhamaさんのコメントを)。確かにマクドナルドは100円マックの導入後,客単価が低下してきています。本来はハンバーガーに100円マックを追加してもらうことで客単価を上げようという戦略だったはず。しかし,世の人々の多くは100円マックだけしか買わなかった,という話です。いわばスーパーマーケットが目玉商品として1パック10円の卵を販売し,ついで買いを誘発しようとしたのにお客様は完全なバーゲンハンターになって赤字が出てしまったということと同じでしょう。

それでもマクドナルドは100円マックの品揃え拡大をやめません。なぜでしょう?

ここからは仮説です。ご存じのように,売上高は客数×客単価です。企業はこの両方をアップさせることに知恵を絞っています。小売業であれば客数を増やすためにチラシをまいたり,ポイントカードを作ったりしています。メーカーも取引客を増やそうと展示会に出品したり,ネットなどチャネルの拡大に努めています。

一方,客単価のアップについてはプレミアム商品をあげることができます。プレミアムモルツや玉露入りお茶のように,10円でも20円でも商品単価を上げようと,企業は涙ぐましい努力をしています。この努力のかけ算が売上高につながります。

ただこの2つの変数には,しばしばトレードオフの関係がみられます。つまり客数を増やすために商品単価を下げる,逆に客数が減っているから客単価を上げざるを得ない,というものです。両方の変数をともにプラスにすることは至難の業です。

さて,もう一度マクドナルドの話に戻りましょう。デフレ経済の中で同社が大成功を収めた戦略は明確です。

売上高(+)=客数(+)×客単価(-)

劇的に商品の値段を下げて,ライバル店のお客様を一気に奪いました。しかしこの戦略は長続きしませんでした。あまりにもコロコロ変わる価格に,お客様の嫌気がさしてしまったわけです。

そこでマクドナルドは,客単価アップを狙いました。おそらく客数アップが望めない以上,来てくれたお客様に100円でも多くのお金をお店に落としていってもらおうという作戦だったのでしょう。つまり,

 売上高(+)=客数(±0)×客単価(+)

という作戦でした。

しかし残念ながら,客単価は伸びず,その結果売上高も低下傾向(もちろん局所的には新商品がヒットして,来店客数が増加ということはありました)。

そこで一般の企業ならば100円マック戦略を転換し,もう一度本業のハンバーガー強化=客単価の復活を狙ったかもしれません。しかし同社は依然として100円マックの拡充に力を入れています。そこで私はこんなことを考えました。

売上高(+)=客数(+)×客単価(-)

なんだ。それってデフレ時代の戦略と同じじゃないか,と言われそうですが,問題は客数増加への考え方の違いです。私たちは暗黙的に,客数増加といえば新規客を増やすか,リピート客を増やすことだと考えていました。しかしひょっとしたらマクドナルドは,1人のお客様に何度もお店に来てもらうことで客数増加を狙っているのではないでしょうか。つまり朝マックセット+10時のブレイク+4時のブレイクとなると,おそらく1日あたりの客単価は600円近くになります。もし100円マックだけでも,1日3回来てもらえればお菓子とコーヒーで500円は超えます。コーヒーだけでも1日300円です。

そんな都合のいいことがあるか。そう思われるかもしれません。確かにマクドナルドの競合=お財布の取り合いの相手をドトールやスタバだと考えれば,そんなことはないだろうとなります。しかし相手を缶コーヒーだと考えてみてはどうでしょうか。例えば外回りのサラリーマンは1日2本~3本の清涼飲料水を自動販売機で買います。一本120円ですから1日240円から360円の出費です。これをマクドナルドが奪うと考えれば,あながち妄想とも言えないように思います。

同じようにタクシードライバーや,トラックの運転手。深夜労働の人たちも時間調整や休息に自動販売機のコーヒーをよく使います。また最近はそれほど厳しくないようですが,それでも路上駐車に対する規制が強化されているので,公園のトイレに行くことも難しくなっているそうです。そんな人たちが休息をかねて1日あたり100円×2=200円でもマクドナルドに落としてくれれば。

そうなるとこのあと問題となるのが店舗数と立地条件ということになってきます。今までのような繁華街,一番立地の出店戦略の見直しは必要かもしれません。

この仮説があたっているかどうかはわかりません。ただビジネスに唯一普遍の正解があるわけではなく,こうして仮説を立てていくことが大切だと,私は考えています。

おまけ

YouTubeでちょっと懐かしいマクドナルドのCMを見つけました。昔はこんな朝マックを提供していたのですね。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:仕事

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。