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バカ売れ 富士写真フィルムのインスタントカメラ [ビジネス一般]

大きな海には魚はたくさんいるが,ライバルの漁師も多い。水たまりはほとんど魚が住んでいない分,そこで漁をする人もいないから獲物を独占できる。どちらが幸せでしょう」

大学院生時代,研究テーマに悩んでいた私への師匠の言葉です。水たまりに魚が住んでいるかどうかはともかく,その言葉に含まれる意味は深いものです。私たちはついつい人気のある市場にばかり目を奪われがちですが,競争戦略の視点から考えると,あえて人気のない市場を攻めたり,衰退市場に居座ることも選択肢の一つです。

この言葉を改めて思い出させたのが,この記事です。
【フジサンケイビジネスアイ】http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200806130023a.nwc

インスタントカメラとは,写真を撮ったらすぐに機械からあっかんべーのように写真が出てきて,しばらくするとその写真をその場でみることができるカメラです(写真はWikipedeaより拝借)

501px-Polaroid_SX-70.jpg

その商品の代名詞でもあったポラロイド社が,専用フィルムの生産から撤退することを決めました。その結果,唯一のインスタントカメラメーカーになった富士写真フイルムの製品の売り上げが急増しているという記事です。

これだけデジカメが普及しているのに,なんで今更インスタントカメラなの? と思ってしまいますが,記事にもあるように画像の改ざんが許されない(正しくいえば,改ざんの可能性を持ったカメラを使ってはいけない)医療機関や警察の需要が根強く残っているからだそうです。

確かに特殊用途からもしれませんが,たとえば警察などは毎日毎日何千何万という証拠写真を撮っているのでしょうから,それなりの市場規模も期待できます。そしてその市場は,デジカメがにおける画像改ざん可能性の排除機能でも開発されない限り,安定的に残りそうです(デジカメにとってそのような機能はそもそも不要でしょうから,できる可能性は極めて低いでしょうし)。独占状態ですから,利益率の高い商売ができそうです。

本来滅びてしまうような市場なのに,居座り続けることでビジネスを継続している例は他にも多数あります。レコード針のナガオカなどはその代表例でしょう。CDの普及で一旦会社は解散に追い込まれましたが,その後はレコードファンの根強い市場に支えられて,企業は再生しています。

投資額や固定市場の存在など,この話が成立する条件はいろいろあるかと思います。ただ最近の経営は,「あきらめのよさ」がもてはやされています。利益率の低い事業を一日も早く切り離し,より成長性のある事業に経営資源を集中させる戦略こそ,よい戦略であるように思われている部分があります。

しかし今回の話のように「あきらめの悪さ」「しつこい経営」という視点も,どこか頭の片隅に置いていてもよいのではないでしょうか。ある人がこんなことを言っていました。「成功する秘訣は,世間の流れの逆張りだ」と。
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