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大学の広報 [大学マーケティング・シリーズ]

少子化による大学全入時代や,国立大学の独立法人化など,大学経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。そのため各大学は広報活動に力を入れています。とくに対応が遅れている国立大学は,外部からプロを受け入れながら急ぎ体制を整えているという記事です。

【朝日新聞】http://www.asahi.com/edu/news/TKY200806160156.html

大学における広報活動というと,学生募集のための広告宣伝というイメージが強いかもしれませんが,他にもいろいろな目的があります。たとえば研究成果を幅広く伝えることで,自分たちに研究を社会に還元したり,次の研究資金の獲得に役立てたりすることができます。

それだけに大学が広報活動に積極的になることはよいことだと思いますが,一方で安易に「プロ」という人たちを大学広報に取り込むことには慎重であるべきだと思います。

私は民間企業に10年ほど勤めてからこの世界に入ったのでよくわかるのですが,大学経営周辺に現れる企業の多くが,いわゆる「ボロい」商売をしていることに驚きます。たとえば本学の大学イメージ調査をやった某大手情報提供会社の調査結果は,もうめちゃくちゃです。たとえば本学には法学部は存在しないのに,「法律に強い大学のイメージがない」というレポートを平気で出してきます。これは複数の大学を相手に,同じアンケート用紙で調査をしているからなのですが,せめてレポートの内容(フォーマット)ぐらい変えろと言いたくなります。こんな程度の内容なのに,びっくりするぐらいの高額フィーを請求してきます。

このようなことになるのは,大学側に仕事を評価する能力,プロジェクトをマネジメントする能力や経験が欠けていることに問題があります。これまでそのような経験がないわけですから,当然のことなのですが,それならばそれで人材育成もしっかりしなくてはいけません。プロを招いたとしても,その人に丸投げではなく,組織全体の能力が高まる工夫をしなくては決して成功しません。

広報活動は確かにプロ的な仕事力が必要となりますが,それはクリエイティブ面のこと。もっとも大切なことは「何を伝えるのか」を考えることで,これは必ずしもプロである必要はありませんし,逆にいくらプロでも外から来た人がいきなりできることではありません。まして外部の業者さんに丸投げなどに断じてなりません。

広告代理店にとって「おいしい」市場にならないよう,こちらも組織能力を高めなくてはいけません。
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