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奈良のキャラクター問題 -正しく調査をしましょう [マーケティング]

昨日のアンケートは,これまでにないくらいの投票数です。まだまだ受け付けていますので,是非とも投票してみてください。

さて前回のアンケートは奈良の遷都1300年祭キャラに関してでしたが,若干「嫌い派」が多いという結果でした。もちろん,アンケートの作法からするとめちゃめちゃですから,データにはそれほど意味がないと言われればそれまで。ただこのキャラクターは賛否両論ある,と世間では言われてるようなので,それに近い結果ではないでしょうか。

個人的にはあまりこのキャラクターは好きではなく,むしろ同じ奈良ご当地キャラでも,地方検察庁が裁判員制度PRのために起用したこのキャラの方が好きです。IMG_1653.jpg


それはさておき,同じようにこの問題についてアンケートをとった団体があるのですが,その結果が驚きです。90%が反対だというものです。アンケート総数は916票だそうなので,このブログのお遊びアンケートとは訳が違います。

ただこの調査結果,このブログを以前から読んでいただいている方なら「???」と思っていただけるのではないでしょうか。そうです。典型的なレスポンスバイアス(回答者の偏り)のある調査なのです。

調査方法をみれば一目瞭然。この調査を実行した平城遷都1300年祭を救う会のサイトで確かめてみましょう。
【調査方法】http://www.youse-factory.com/agenda0309.html

早い話,このキャラクターの白紙撤回を求める街頭署名のついでにアンケートをしているわけです。

ということは,大半はキャラクターに反対の意志を持った人がこのアンケートに答えているとしか考えられません。そりゃあ,反対が8割を超えます。その結果をもとに,さらに「県民の7割がキャラに反対。だから見直しを求めていく」と分析していますが,それはあまりにひどすぎます。

ここまでひどい調査はそうないだろう,と思われる方が多いかもしれませんが,実際新聞に載っているような記事の中に出てくる数字も,このような調査結果をそのまま引用している場合が結構あるのです。またマーケティングの現場でも,結果ありきで怪しげな調査をおこない,狙った通りのデータを持ってくることもしばしばあります。

先日も触れましたが,マーケティングはお客様をしっかり,正しく理解することが基本です。それがしばしば顧客に迎合するだけで,新しいものを何も生み出さないという間違った批判になるのですが,同じメーカー主導であっても,お客様をきちんと理解した上でのメーカー主導と,自分勝手なメーカー主導とは意味が違います。

そのためにも,正しいマーケティング調査の方法,考え方を身につける必要があります。ただ正しい調査とは,学者がやるようなサンプル数を増やして,統計的に頑強であることでは必ずしもありません。目的にあった適切な調査設計をすることです。是非,マーケティングやマーケティング調査に対する誤解を捨て,積極的に正しいマーケティング調査に取り組んでいただきたいと思います。


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