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世論とは誰の意見? [マーケティング]

昨日,日銀総裁人事の報道をもとに,情報は裏を読まなくては,というお話をしました。参議院での不同意の結果をうけ,主要なマスコミが一斉におこなった民主党バッシングは,何かおかしな点はありませんかという問いかけでした。

私の疑問点は2つでした。
①武藤氏を「積極的に」支持する論調がないのはなぜか
 昨日,主要新聞社の社説を紹介しましたが,基本的なスタンスや論調はこうです。
  ・総裁空席は大問題であり,避けるべき
  ・そのような状況で,民主党が反対したことはけしからん
  ・民主党の反対理由は,財務省出身者というだけで説得力に欠ける
  ・要は民主党は,最初から反対ありきなのだから,たいへんけしからん。

 なるほど。そうかもしれません。しかしここまで民主党をぼろくそに言っている割には,武藤氏を積極的に押す理由は皆無です。もし武藤氏が適任だと思うのなら,普通は良い点をまず挙げます。もし「混乱を避けよ」という視点から議論するなら,「もっとベターな人材を持ってこない自民党にも問題がある」となるのが普通の論評のように思いました。なんだかおかしい。

②「緊急世論調査」がなぜなされないのか。
 もう1つ疑問に思ったのが,データの不在です。最近,何か大きな問題が起きたときマスコミは必ずといって良いほど世論調査をやるのですが,そのデータをなんで使わないのだろうと思いました。今はインターネット調査もあるわけですから,いくらでもタイムリーに情報をとれるはず(実際,多くの記事ではそのようなやり方をとっていました)。

 と思っているところにフジテレビ「報道2001」の世論調査の結果が出ていました。
   【報道2001】 http://www.fujitv.co.jp/b_hp/2001/chousa/chousa.html

 それによると,今回の日銀人事の責任はマスコミの論調とは違い,政府・与党にあるとする人が,野党にあると答えた人を大きく上回っていました。調査日時をみると13日ですから,じつはこの「世論」を,多くのマスコミが知っていたのではないかという疑念があります。つまり,ある目的のため(もしくは目的に向かって)記事が書かれているのではと。

もちろん,政治は世論調査結果が正しいと言うことではありませんから,マスコミは自由にものをいうべきでしょう。ただ書き方としては,「読売新聞は」や「毎日新聞は」というように主語をしっかりと書かなくてはならないように感じます。

似たような事例は,橋下大阪府知事をめぐる報道でも同じです。関西以外の人はご存じないかもしれませんが,選挙で圧勝した橋下氏ですが,最近はマスコミでバッシング的な報道が続いています。しかし世論調査の結果をみると,どうもマスコミの論調は「世論」ではないようです。
【ABC放送 Newゆう】http://webnews.asahi.co.jp/you/special/2008/t20080317.html

さてこうなると,「世論」というのは一体なんなのでしょうか。もっと言えば,最近のマスメディアは「世論」を読み違えている(もしくはずれている)ことが非常に多いように思います。それはどうしてでしょうか。

私は1つに「プロの視点」が行き過ぎているのではないかと考えています。これはビジネスの世界も同じなのですが,その商品の専門家になると「きっとこうだろう」「こうに違いない」という意見を持ちやすくなります。そしてそれがいつしか「この視点で見れない奴は素人だ」「素人にオレの話はわからん」という驕りになっていきます。そうなると,お客様に支持されない商品ばかりが市場に出てきて,シェアや売上げを減らすことになっていきます。

何度も繰り返しますが,政治は世論がすべてではありません。しかし世論を読み違えていては(もしくは世論を操作できると信じていては),よい商品(政策)はできません。プロダクトアウト型の商品(あえて世論に反する政策)を出すのであれば,なおのこと世論の正確な理解が必要のように思います。

もちろん,マーケティングの世界ではそれがもっとしっかりなされなければいけません。マーケティングはお客様に迎合することではありませんが,お客様を知らずしては成り立ちません。
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