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中国食品が自己破産 [ビジネス一般]

しばらくは土日の更新が難しい感じです。その分,平日はきちんとしていきたいのですが。

さて本日の注目ニュースですが,社名が仇になったのでしょうか。岡山県の「中国食品工業」が自己破産しました。

詳しい記事はここ; http://www.asahi.com/business/update/0831/OSK200708310064.html

社名の中国は中国地方の「中国」なのですが,食品の安全性への重大な疑念が続いている中華人民共和国の「中国」と誤解され,売上高が急激に減少したことが要因の1つであると同社は考えているようです。

確かに日本の消費者は,やや極端なところがありますので,一度「ブーム」になってしまうと一気にそちらに傾く傾向があります。この影響を受けてしまった気の毒なケースであると言えるかもしれません。

同社の昨年度の売上高は,10億円ほどであったとのことですが,いわゆる珍味・おつまみ製造業界の中でもそれほど大きな規模ではないようです。

きんざいが発行している「業種別審査事典」をみると,この業界は原料確保が国内モノ,輸入モノにかかわらず困難なっており,しかも高騰しているそうです。つまり構造的に厳しい業界になっており,業界のトップ企業でも経営は難しくなってきていたわけです。このような状況で,社名問題は最後のとどめとなったのかもしれません。

しかし,同社はこのような最悪の事態を回避する方法はなかったのでしょうか。 例えば社名についても,危機管理や意識がしっかりしていれば,中国製食品の安全性問題が話題となった直後に変更することも可能だったわけです。 商品開発についても,業界の構造的な問題を鑑み,もっと早い段階から企業規模にあった対策も可能であったかもしれません(高級化路線など)。

大企業に比べて経営資源が劣る中小企業は,対策が後手後手になりがちです。またマーケティングリサーチや経営戦略の検討などを軽視する傾向があります。調査なんか意味がない。そんなものにカネをかけるくらいなら営業してこいという発想です。

しかし今回の例が示すように,グローバル化が進んだ現在では,中小企業と言えども世界経済の大きな流れに簡単に巻き込まれてしまいます。競争も世界レベルで展開されるわけです。

さらにIT時代では,情報の価値が一層高まっています。情報を持っていることが強みではなく,最低限の情報を持っていないと競争に参加する資格すらないという時代です。例えば今回のような中国で起きた問題が,どのくらい日本の消費者に影響を与えるのかという情報は,かつては大企業のみが集めて対策を立て,中小企業はそれに従うという構図でした。

しかし今回の例が示すように,中小企業と言えども大企業と同じレベルの情報を,同じようなタイミングで入手し,それに対してできるだけ早く対応しなくてはならない時代になっているのです。IT技術の進展によりそれがある程度可能になってきているわけですから,この種の情報は最低限必要なものになっているのです。

多くの社長がおっしゃるように,経営学やマーケティングを学んだだけでは経営などできませんが,経営学やマーケティングを軽視する傾向は改めなくてはいけません。過去の経験や常識が通用しなくなってきている現在,ぜひ経営学やマーケティングに興味を持ち,勉強してみていただきたいと思います。

そのためにはコンサルタントや中小企業診断士といった経営の専門家に相談してみることもよいでしょう。ただ予算面で制約の多い中小企業の方々は,ぜひ大学を活用していただきたいと思います。なんとなく大学は敷居が高いように思われるかもしれませんが,意外に気さくな先生は多いものです。産学連携について関心を持つ教員も多数います。

そのような先生方をうまく「活用」して下さい。例えば大学のホームページをみて,これはと思う先生にメールをしてみてはどうでしょう。「最近こんな問題を抱えているのだが,一度話を聞いてみてくれませんか」とか,「社員教育をしたいのだが,よい本を紹介してもらえませんか」という程度でもよいのです。

私も時々,このようなメールを頂きます。中小企業の社長さんだけでなく,大企業にお勤めの社員の方からも相談メールをいただきます。企業が抱える現場の問題を知ることができるこのようなメールは,私は大歓迎です。おそらく多くの経営学研究者も同じだと思います。

ぜひ大学を活用して下さい。


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