経営統合の意味 大丸-松坂屋と東京三菱-UFJ [ビジネス一般]
昨日,大学をもっと活用して下さいとお願いしましたが,さっそく3人の方から相談メールをいただきました。こうしていち早く一歩踏み出すことができる人と,ただ悩んでいる人。ここで大きな差が出てきます。ご相談をいただいた方には順番にお返事を差し上げますので,しばしお待ち下さい。
さて今日は経営統合についての対照的なニュースがありましたのでそれをご紹介します。昨日スタートした大丸と松坂屋と,すでに経営統合は終了し,現在はシステム統合に向けて準備を進めている東京三菱UFJ銀行です。
詳しい記事はここ;
大丸-松坂屋; http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070904AT1C0300F03092007.html
東京三菱UFJ銀行; http://www.zakzak.co.jp/top/2007_09/t2007090320.html
経営統合は,重複する経営活動を一本化し,効率化を図るというメリットがあります。ただこれは企業からみた理論であり,それがお客様に還元されなくては意味がありません。例えば仕入れコストが下がってよい商品が安く手にはいるとか,手数料が下がるとかです。少なくとも統合によってサービス水準が低下するなどということは,お客様からすると論外です。
大丸と松坂屋はポイントカードをブランドそのままにシステムを一本化し,さらにはそのカードを大丸,松坂屋両店で使えるようにしようとしています。今まで各店舗でしか使えなかったポイントカードの使える場所が広がるわけですから,お客様の便益は両社の経営統合によって広がります。また両店の顧客情報も,商品の仕入れに反映させようとしていますので,現在のところ,経営統合はお客様のためにもなりそうな感じです。
これに対して東京三菱UFJ銀行。記事によればシステム統合によって,統合前に存在していたサービスが次々に廃止されていっているとのこと。それもメンツの問題で,レベルの低い方にシステムを統合するために生じているとなると,これは顧客視点からすると許し難いことになります。
メガバンク構想のもと,銀行は規模だけは大きくなりましたが,サービス水準は決して向上していません。例えばATMの統廃合によって利便性は低下しているのに,やたら手数料だけはきっちりととられるようになったという印象を持ちます。
また住宅ローンなど融資についても,やたら官僚的な対応で(以前からその傾向はありましたが),極めて紋切り型の取り扱いしかしてくれません。恐らく統合をよりスムーズにしていくために,少しでもリスクのある顧客は相手にしないという方針だったのでしょう。
余談ですが,この間隙を縫って地銀が業績を伸ばしているとのこと。都市銀行が統合問題で停滞する中,地元密着で丁寧な営業をしてきた成果が実を結んだようです。つまりお客様にきちんと向き合っている経営をすれば,ちゃんとお客様は評価してくれるということ。
繰り返しになりますが,経営統合は経営活動の効率化を図るためのものではありますが,その効率化の目的はお客様を獲得するためです。お客様から見放されれば,いくら効率化を図っても企業は生きていけません。競争戦略の基本。それはお客様をしっかりみることです。
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とくに管理職の方が従業員教育に用いるには最適の本です。
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