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巨人の強さと視聴率 [マーケティング]

このところ,巨人戦の視聴率がよくないようです。かつては娯楽の王様で,巨人・大鵬・卵焼き(古い!)とまで言われたジャイアンツの人気ですが,今では完全に地に墜ちてしまいました。

この視聴率低迷の要因ですが,長い間,ジャイアンツが弱いからだと言われてきました。確かに以前のタイガースファンのように,弱ければ弱いほど燃えるという特異体質ならともかく,普通はチーム成績が落ち込むと,人気も低迷します。つまり,チームの成績と視聴率には因果関係があると信じられていたわけです。

ところが,日刊スポーツにこんな記事が出ていました。http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20070501-192418.html
いくらジャイアンツが強くても,視聴率には反映されていないとのこと。じつはチーム成績と視聴率には因果関係がなかったということです(厳密に言えば,これだけのデータでは判断はできないのですが)。

このような因果関係に関する「神話」はいくらでもあります。「常識」として信じられていたことが,じつはウソであったということは,この世の中ではあたりまえのようにたくさんあるのです。しかし多くの人たちはその前提を疑おうとはしません。

私の授業の中よく「風が吹けば桶屋が儲かる」という小噺が昔からあります。早い話,風が吹くとそのゴミが目に入って,目の見えない人が増える。そうなると三味線奏者が増えるので,三味線の材料であるネコが少なくなって,その分ネズミが増える。ネズミが増えると桶をかじるから桶屋が儲かる。こんなたわいもない話なのですが,因果関係の問題を説明するためにはじつによくできた話です。

風が吹くことと,桶屋が儲かる話は直接の因果関係はないのですが,結果だけ見るとなんとなく関連があるように思ってしまう。だからといって桶屋業界が大型扇風機で風を起こしても,必ずしも儲かるわけではありません。なぜなら例えばサングラス業界が販促活動をして,大量にサングラスを販売すれば目を痛める人が減ってしまって,この因果関係連鎖はストップします。猫の革に変わる合成皮革が開発されば猫は減りませんから,ネズミも増えない。

このように因果関係をきちんと紐解いていくと,経営やマーケティングの打ち手を考えやすくなりますし,間違った方向に流されることはありません。巨人と視聴率の関係を見ても,日本テレビはジャイアンツに資金供与して他球団のスター選手をお金で引っ張ってきてチームを強くするのではなく(実際は強くなっていませんが),もっと別の方法をとらなくてはいけないということになるわけです。

因果関係,簡単なようで深くて面白いテーマです。

いつものこの本を,是非読んでください。

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方

  • 作者: 竹内 薫
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/02/16
  • メディア: 新書


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コメント 1

26@がーさん

はじめまして、先生のご指摘は最もだと思います。
因果関係を紐解いていく中に結果を変えることができる段階があり、そこで手を打つことで攻めに転ずることができる・・・ということですね。
簡単なようで深いテーマですね。

ところで先生のふるさとでは北信越の独立リーグが誕生し、サンダーバーズというチームが活躍しているようですね。地域住民の中で育てられるチームを目指すとか・・・また、大リーグもここ数年日本人選手の活躍により、身近になりましたが、ここでも地域を重視した経営が行われていると聞きます。

Jリーグもそうなのですが、これからのプロ野球は地域の中にとけ込んでこそ、チームの強さや弱さに関係なく人気のある種目になると思うのですがいかがでしょうか?
by 26@がーさん (2007-05-02 22:47) 

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