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査読論文の重要性 [研究]

昨日,学会誌に投稿していた論文の査読結果が帰ってきました。結果は「一部修正の上,採択」。

ジャーナルへの投稿は3度目なのですが,前2回は師匠との共著。単独で採択されるのははじめてなので,ちょっと(じつはかなり)うれしかったりします。

業界ルールをご存じない方に少しだけ説明しておくと,研究者は研究成果として論文を作成します。しかしこの論文,ただ書いただけでは誰の目にも触れません。それを発表する媒体が必要となります。その発表媒体の1つがジャーナルと呼ばれる学会誌になります。

この学会誌に掲載される論文は2つのタイプがあります。1つは「依頼論文」。学会誌の編集者から,このようなテーマで書いてくださいとお願いされて書くものです。普通の雑誌の原稿依頼のようなものです。編集者から依頼があるわけですから,当然必ず掲載されます。

しかし,論文の依頼があるのはある分野で高名な研究者の方々。私のような駆け出しで能力のない研究者には声はかかりません。そのような研究者でも論文が発表できるような制度が,「投稿論文」です。何か新しい研究が完成したら,その成果を論文にして編集部に送って掲載をお願いするわけです。

ただし論文を送れば無条件で掲載してもらえるわけではありません。審査があるのです。この審査が「査読」と呼ばれるもので,優れた研究をしている先生方が,投稿者の論文を読んで問題点や修正点を指摘してくれるわけです。そして通常,「無条件採択」「一部修正の上,採択」「大幅修正の上,採択」「不採択」の4レベルぐらいで点数がつけられます。研究者の通信簿のようなものです。大幅修正の場合は,修正したものを再度査読者に提出し,再審査してもらう必要もあります。投稿から評価が帰ってくるまで短くても1ヶ月,長ければ半年以上かかります。その期間はドキドキものです。

もちろん,ジャーナル以外にも発表媒体はあります。例えば大学に所属する研究者なら,ワーキングペーパー(DP)やディスカッションペーパー(WP)といった,作成した論文を大学に提出さえすれば簡易製本してくれる制度もありますし,投稿すればほぼ100%掲載される研究年報のようなものもあります。それなのにジャーナル掲載を目指す研究者が少なくないのはなぜでしょうか。

それは評価が違うから。人にもよりますが,研究者の論文業績評価は,査読論文>>>依頼論文>>>>>>DPやWPと見なされています。海外ではもっとその傾向は顕著で,査読付き論文がどれだけあるかによって就職や昇進が違うそうです。

私が尊敬する師匠は,海外の超有名大学で博士号を取得してきた方です。そのため査読論文を中心とした研究スタイルの重要性をいつも説かれています。毎回,論文を投稿するときは大変ですし,胃が痛くなります。しかし,得るものも非常に大きい。決して安易な方向に流れずにがんばっていきたいと思います。

ちなみに師匠の代表作はこちら。

イノベーションの発生論理―メーカー主導の開発体制を越えて

イノベーションの発生論理―メーカー主導の開発体制を越えて

  • 作者: 小川 進
  • 出版社/メーカー: 千倉書房
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 単行本


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