安全と安心 [ビジネス一般]
原発問題で揺れる福島県。その重要な産業の1つである農業が危機に瀕しています。
カゴメとデルモンテが,同県のJAに生産委託してきた加工用トマトの契約を見合わせると連絡してきたというニュースです。
BSE問題や中国からの輸入食品問題でたびたび議論となっていた「安全」と「安心」の基準が,ここでも難しいテーマとして挙ってきてしまいました。
かつて吉野家の安部社長がインタビューで語っていましたが,数値化できる安全の問題は追及しても,心の問題である安心はあるところで割り切るしかありません。いくら数値で安全だと示しても,不安の問題を持ち出されたら,それを解消することには莫大なコストが掛かりすぎます(それで解消できればよいのですが,結局は解消されない場合がほとんど)。
安心を生み出すためには,信頼関係が不可欠です。それはたんに提供者(メーカー)と消費者の関係だけではありません。それをとりまく社会状況も重要。その意味では,今回の不安の要因は,明らかに二転三転する原発関連の情報提供の仕方にあります。ミネラルウォーターをはじめとする買い占め問題も,その根っこは同じでしょう。
この疑心暗鬼のサイクルを断ち切らないことには,いくら「安全」を訴えても「不安」は増幅してしまいます。
今こそ関係者は,広報戦略,コミュニケーション戦略を見直すべきです。あまりにマーケティング活動がヘタすぎます。
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