作られる不況 [ビジネス一般]
長らく更新を中断しておりました。
非常に忙しくなったことと,体調もちょっとよくなかったこともあったのですが,年末にかけて余裕もでてきましたので,徐々に更新していきたいと思っております。
さて,サボっていた(?)期間は経済が大きく動いておりました。世界は大不況へまっしぐらという様相を呈していますが,その一方で私たちがバブル崩壊後に体験した長期不況と同じような,「作られた不況」へも進んでいないかと,やや不安を覚えます。
バブル経済が破綻した後,日本経済は失われた10年という言葉に代表されるように長いトンネルに突入してしまいました。その大きな要因は,金融システムが完全に痛んでしまったことと,その処理を誤ったことは確かでしょう。
しかし,あのときは現在のアメリカ経済のように垂直落下の如く景気が悪化したわけではありません。この後景気が悪くなるぞ,悪くなるぞという心理的圧迫感が蓄積されて,本当に景気がどうしようもないところまで進んでいきました。その心理的不可をかけたのが,マスコミの報道であったことは多くの人が指摘をしています。連日,不況の兆しとなるニュースを流し続け,企業の投資意欲や消費者のマインドを冷やしていったのです。
どうも今回もまた,同じような風潮ができているように思えてなりません。少なくともリーマンショックの直後は,日本経済はバブル崩壊直後のようにそれほど深刻な状況だったわけではありませんでした。現に大手金融機関は破綻したり,破綻しかかっている米国金融機関への投資を発表するなど,攻めの経営を模索していました。
しかし,その後マスコミでは連日のように不況の「兆し」をわざわざ探してきて報道し,国民の不安を煽り始めました。最近では,非正規雇用の削減が報道されない日はありません。このような報道が続くと,実際に危機を実感していない消費者も消費マインドは冷めてくるでしょうし,企業の中には「便乗」して労働コストの削減に走るところも出てくるかもしれません。
その例として,非常に興味深い記事が出ています。
【共同通信:大手製造業、株主重視で人員削減 内部留保、空前の33兆円】
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122301000451.html
要するに企業が苦しいからと言って人員削減していながら,企業の貯金にあたる内部留保は,じつは史上空前の額に達しているというスクープです。もちろん内部留保をそのまま従業員に「還元」しろ,という子供じみた議論をする気はありません。ただ,不況の兆しを面白可笑しく垂れ流すのではなく,一方で日本経済,企業の実態を冷静に分析することも,マスコミの重要な責任であると思います。
経済は必ずしも「実体」を反映して動くものではありません。むしろ経済のプレーヤーである消費者や経営者の「感情」や「心理状態」によってとんでもなく大きく動きます。
株価の変動がその代表例でしょう。
必要以上に危機感を煽ることは,厳に慎むべきではないでしょうか。
非常に忙しくなったことと,体調もちょっとよくなかったこともあったのですが,年末にかけて余裕もでてきましたので,徐々に更新していきたいと思っております。
さて,サボっていた(?)期間は経済が大きく動いておりました。世界は大不況へまっしぐらという様相を呈していますが,その一方で私たちがバブル崩壊後に体験した長期不況と同じような,「作られた不況」へも進んでいないかと,やや不安を覚えます。
バブル経済が破綻した後,日本経済は失われた10年という言葉に代表されるように長いトンネルに突入してしまいました。その大きな要因は,金融システムが完全に痛んでしまったことと,その処理を誤ったことは確かでしょう。
しかし,あのときは現在のアメリカ経済のように垂直落下の如く景気が悪化したわけではありません。この後景気が悪くなるぞ,悪くなるぞという心理的圧迫感が蓄積されて,本当に景気がどうしようもないところまで進んでいきました。その心理的不可をかけたのが,マスコミの報道であったことは多くの人が指摘をしています。連日,不況の兆しとなるニュースを流し続け,企業の投資意欲や消費者のマインドを冷やしていったのです。
どうも今回もまた,同じような風潮ができているように思えてなりません。少なくともリーマンショックの直後は,日本経済はバブル崩壊直後のようにそれほど深刻な状況だったわけではありませんでした。現に大手金融機関は破綻したり,破綻しかかっている米国金融機関への投資を発表するなど,攻めの経営を模索していました。
しかし,その後マスコミでは連日のように不況の「兆し」をわざわざ探してきて報道し,国民の不安を煽り始めました。最近では,非正規雇用の削減が報道されない日はありません。このような報道が続くと,実際に危機を実感していない消費者も消費マインドは冷めてくるでしょうし,企業の中には「便乗」して労働コストの削減に走るところも出てくるかもしれません。
その例として,非常に興味深い記事が出ています。
【共同通信:大手製造業、株主重視で人員削減 内部留保、空前の33兆円】
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122301000451.html
要するに企業が苦しいからと言って人員削減していながら,企業の貯金にあたる内部留保は,じつは史上空前の額に達しているというスクープです。もちろん内部留保をそのまま従業員に「還元」しろ,という子供じみた議論をする気はありません。ただ,不況の兆しを面白可笑しく垂れ流すのではなく,一方で日本経済,企業の実態を冷静に分析することも,マスコミの重要な責任であると思います。
経済は必ずしも「実体」を反映して動くものではありません。むしろ経済のプレーヤーである消費者や経営者の「感情」や「心理状態」によってとんでもなく大きく動きます。
株価の変動がその代表例でしょう。
必要以上に危機感を煽ることは,厳に慎むべきではないでしょうか。
ドクター
まずは、復帰おめでとうございます。( ? )
海外にでも出張されているのかなと思っていました。
お元気にまたUpされること望みます。
「経済は、感情で動く」
面白そうな本ですね、早速amazonにたのみました。
最近、いや最近でもないですが、
マスコミの報道に疑問を持つことが多いです。
自分たちの結論ありきでの報道
過度にセンセーショナルな報道などなど
by nhama (2008-12-25 09:28)
nhamaさん
コメントありがとうございます。できるだけ(笑)、ちゃんと更新するようにします。
>自分たちの結論ありきでの報道
結論があればいいのですが,何となく最近は結論というか、何が言いたいのか(したいのか)すら考えていない報道なのではないかと思う今日この頃です。
良い悪いは別にして、かつては自分たちが社会を動かしてやる、この政権を倒してやるといった「野心的な意図」を持った記事が多かったように思います。しかし最近は、これを報道することで社会がどうなって欲しいわけ?と思わざるを得ない論調が多すぎるような気がします。とくに重要な記事は各社横並びで同じ内容ですし。
by ドクター (2008-12-25 09:49)