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値上げと消費者心理 [ビジネス一般]

8月は半分以上海外に出ていたもので,ブログの更新はお休みをしていました。行き先の一つはアメリカはボストン,ハーバードビジネス・スクールでした。私の研究分野の一つであるユーザー・イノベーションに関するワークショップに参加するためだったのですが,そのときのお話はまた機会を見てさせていただこうと思います。さすがは世界ナンバーワンのビジネス・スクール。設備の豪華さはすばらしいものがありました。日本でもビジネス・スクールが次々に設立されていますが,ソフトも大切ですがエリートを養成するためにはハードも大切であることを改めて感じました。

さて,今日から9月。色々なものがまた値上がりします。ただ値上がりの象徴でもあったガソリンは,原油の狂乱高騰が一段落したこともあり,若干の値下がりです。とは言え,まだまだ高い水準なのですが,ガソリン価格に対する消費者の心理は少し変わってきているのかもしれません。

以前,ガソリン価格の高騰にともない,道路の渋滞が大幅に緩和しているというお話をしました。関西の場合,いつもとんでもない渋滞になる朝の阪神高速が,ピーク時でもほとんど混まかったり,大阪のど真ん中を走る御堂筋線も非常に走りやすい状況でした。自分自身もそうだったのですが,明らかにガソリン価格高騰による「乗り控え」効果でした。

ところが,それが8月になると様相が変わってきました。インターネットで高速道路の渋滞情報を眺めていると,いつもの渋滞ポイントが再び真っ赤に(渋滞マークに)なってきました。あるポイントではほぼ終日,この渋滞マークがとれないという,ガソリン高騰前とまったく変わらない状況です。

それも関西でよく言われる「五十日」(詳しい説明はこちらで http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%8D%81%E6%97%A5)のような混雑日ではない,平日でも同じです。

このような現象があると,よく「消費者は我慢したが,必要に迫られて仕方なく使うことになったのだ」という分析がありますが,ガソリンの場合はそれは当てはまらないはず。とくに都市部では代替交通手段が多数あり,実際にそれを利用していたわけですから,この自動車回帰は一時的に価格高騰>利便性という心理状況になった消費者が,再び価格高騰<利便性に戻ったと考えるべきではないでしょうか。

つまりガソリンに関して言えば,じつは消費者は経済的に現在の価格水準を受けれる余裕があるか,もしくはガソリンが他の消費項目に優先する存在だということなのかもしれません。

価格政策は,心理的な要因に左右される短期的問題と,実際の経済的受容性に影響される長期的問題の両面で判断しなくてはならないので,大変難しいのですが,あまり心理的な(感情的な)部分に引きずられすぎると企業活動に大きな問題を生じさせかねません。




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