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マックカフェ縮小へ [ビジネス一般]

首都圏を中心に,マクドナルドの新業態として実験的にスタートしたマックカフェですが,早くも見直しが図られるそうです。オープンさせた15店舗のうち,3分の1にあたる5店舗を順次閉店させ,別業態の開発を目指すことになったそうです。

【ZAKZAK】 http://www.zakzak.co.jp/top/2008_04/t2008041903_all.html

ドトールやスターバックスの成功以来,日本のカフェ市場は新規参入が相次ぎ,激戦が続いています。マクドナルドという,ファストフード産業の巨人も,新しい市場ではそう簡単に勝たせてもらえないということでしょうか。既存チェーンがマクドナルドの参入に合わせて,様々な対抗策をとったことが苦戦の要因とも,この記事では分析しています。

ただ私はビジネスのしくみについて研究をしていますので,どうしてもそこからの視点になってしまうのですが,従来のマクドナルドのビジネスのしくみと,カフェというビジネスのしくみの違いにも敗因があるのではないかと考えています。

残念ながらマックカフェは関西には1店舗しかないので,私はまだ実際に体験していませんが,情報を見聞きする範囲では,同社が目指したのはどうもスターバックスの廉価版というイメージがします。言葉を換えれば,非常にお得感のあるスターバックスとでもいいましょうか。

もちろんスターバックスがコストパフォーマンスに劣るということではありません。ただ,スタバはあの雰囲気やブランドイメージも含めての価格ですので,単純にコーヒーが飲みたい人にはやや割高感があるかと思います。その割高感をうまく抑えて,質の良いコーヒーを提供しようとするのがマックカフェの基本戦略ではなかったかと思います。コストを抑えることは,マクドナルドの得意分野です。規模の経済性を充分に発揮し,低価格でも高い品質のコーヒーを提供したわけです。味については各方面でとても高い評価を受けています。

ただコストパフォーマンスを重視したビジネスのしくみを組み立てるためには,数量をはかせることが大切になってきますし,オペレーション面でも効率的なしくみがとる必要があります。これも同社の得意技なのですが,もう一度コンセプトを思い出してみると,このやり方はダメということになります。なぜならスタバ的な雰囲気も「ある程度」は提供せざるを得ないからです。従来のマクドナルドのようなお店作りではいけないということです。

またスタバの廉価版のようなお店は,すでに全国に溢れています。名前は挙げませんが,あれ?これスタバというようなお店が山のようにあります。

同社が得意とするビジネスの仕組みを生かすのであれば,じつはドトールが抑えている市場を狙うべきだったのかもしれません。例えば非常に高いレベルのコーヒーは提供するけれども,お店はすべてスタンドもしくは持ち帰りのみにして客数増加を図るなどすれば,ビジネスのしくみレベルでのシナジー効果があったかもしれません。

ただシナジーという言葉もクセモノで,シナジーが高いということは,それだけ本業がコケたときに多角化した他の業態もコケる可能性が高いと言うことです。シナジー効果が高ければよいというものではありません。

今回,マクドナルドは残念ながらカフェ業態開発に失敗したようですが,この決断の早さは高く評価されるべきでしょう。新しいビジネスのしくみは実験の繰り返し。批判を恐れず,素早い対応が大切だと感じました。
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