経験 vs. 検査結果

一週間ブログの更新をお休みしていました。じつは最高値３９度５分を超える熱にうなされ，意識朦朧としておりました。まだまだ本調子とはいきませんが，本日より何とか仕事も再開です。

さてこの高熱の原因解明を巡って，少し考えさせられることがありました。

【２月１１日】
発熱が始まったのは１１日の午前中。この段階では３７度程度だったのですが，夕方５時ぐらいには３７度台後半，そして夜７時には３８度台へと一気にヒートアップです。近所に夜間診療もしてくれる病院があったので，すぐにそちらを訪れました。

というのも，じつは私の奥さんが前日の夜から体調を崩し，１１日の午前中にはその病院で検査をしてもらったところ，インフルエンザとの判定が出ていたからです。そのとき付き添っていた私にお医者さんは「今から１日半以内に発熱したら，あなたも移っているということです。４８時間以内だとタミフルが使えますから，早く病院に来てください」と言っていたので，とにかく急いで行ったわけです。

ただそのときは時間外診療だったこともあり，当直の先生は内科ではなく外科。マニュアルどおりに風邪の診断を下そうとしたので，「いやいや嫁さんがインフルエンザで」と訴えると，「じゃあ検査してみる？」とのこと。もちろん検査をうけたのですが，このときは陰性の結果でした。午前中に内科の先生から感染から２４時間以内のときは陰性となることもあると聞いていたので，とりあえず解熱剤をもらって帰りました（ただインフルエンザの可能性が残っているので，それと相性の悪い強力な解熱剤はもらえず）。

【２月１２日】
翌日，熱も下がらなかったので再度病院へ。すでに本格発熱から２４時間を経過しているし，そろそろ大丈夫だろうと検査をうけるとまたしても陰性。他のウィルス性の感染症かもしれないからと，今度は抗生物質をもらって帰りました。解熱剤も依然として弱めのものだけ。熱はやはり下がりません。

【２月１３日】
さらにその次の日。タミフル処方の限度４８時間も目前にして，再々訪問です。今度は嫁さんの診断を下した先生が担当する時間を見計らって行ったのですが，３回目の陰性判定。お医者さんも，「臨床的にはインフルエンザだし，奥さんがインフルエンザなんだけどねえ。（結果が）でないねえ。まあ違うんですかね」ということで，ようやく強めの解熱剤（とんぷく）を処方してもらいました。

このとんぷくは強力で，３９度を超える熱もこれを飲むとあら不思議。３６度台前半にすーっと下がってくれます。むしろ寒いくらいで（笑）。ただ薬が切れると熱が上がり，またとんぷくを飲むの繰り返しでした。

【２月１５日】
で，３日分の薬が切れた金曜日に，薬をもらうために病院にいくと４人目の先生の診察。ここまで症状に変化がないことに気味悪さを感じたのか，血液検査とレントゲン診断をすることに。その結果…。
「血液検査を見る限りでは，どこも悪くなさそうです。数値を見る限り，ヘンなウィルスにかかった様子もないですし。こりゃあ，やっぱりインフルエンザだったのかもしれませんね」　なんじゃそりゃ。だから言ったじゃないですか。

これが一連の騒動なのですが，このときこんな事を考えました。
たぶん検査薬が発達する前であれば，お医者さんの臨床的判断で，私は間違いなくすぐにインフルエンザと診断されてたでしょう。
しかし検査薬が開発された今，逆に臨床的には限りなく黒であるとしか思えない私の病状も，検査薬の陰性という結果１つで，インフルエンザという診断はなされなかったわけです。五感や経験よりも，いわゆる客観的な基準が優先されたわけです。

ただご存じの通り，検査薬は１００％正しい結果を示してくれるわけではありません。誤差がありますから，見逃すケースも多々あるわけです。実際今回のケースが，本当にインフルエンザであったのかどうかは，わかりませんが，私が言いたいのはあまりに「勘や経験」がないがしろにされていませんかねということです。

たぶん責任問題になったときのことなどがあると思うのですが，例えば昨今問題となっている食品偽装。製造年月日という印字だけを信じて，自らの五感や経験を信じなかったことが，問題の発覚を遅らせた面があります。なんでもかんでも勘や経験がいいという気はありませんが，だからといって「指標」だけに頼ることも危険ではないかと，朦朧として消えゆく意識の中でそんなことを考えました。