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経営者の巨額報酬に歯止め [ビジネス一般]

アメリカ企業の経営者といえば,成果に応じて巨額の報酬を得るイメージが強いですが,それが変わっていくかもしれないというニュースです。経営者の報酬を株主総会の承認事項にしようという動きが広まっているとのことです。http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070514AT2M1200N13052007.html

確かに日本人からすると信じられないような金額を持って行くアメリカ企業の経営者なので,なんらかの歯止めを効かせないとダメだということに,ようやくアメリカ人も気づいたのでしょうか。

ただアメリカ型資本主義の問題点はこれだけでは改善できないと思います。最大の問題点は成果主義だと考えます。確かに成果連動型で役員の報酬を決めると彼らのモチベーションは高まり,業績も上がりそうです。しかし,それは自分の任期中の成果だけにこだわり,その後のことは知らないという態度を招く可能性があります。これは不正の温床にもなります。実際,日興コーディアルの粉飾決算問題では,この成果連動型報酬が遠因になっていたとも言われています。

またカルロス・ゴーンは,短期的にはニッサンの財務体質を改善させ,それを指揮した彼の評価を高めました。しかし,ただのリストラに終止,将来に向けた投資をしてこなかった彼の改革は,現在の同社の極度の販売不振を引き起こしています。とくに勝負所となる環境対策自動車では完全に出遅れ,もう挽回不可能という見方まであります。

企業は継続することが大切です。短期的な利益だけを追い求めると,必ず弊害が出てきます。経営者の報酬制度も,短期的な利益だけでなく,将来の利益への貢献も含んだ長期的な視点も持つ必要がありそうです。

日本企業は,伝統的にこれがうまくいっていたように思います。グローバルスタンダードという名のアメリカ型資本主義に踊らされるのではなく,日本型の経営システムをもう一度見直し,そしてそれを世界にプロモーションすることも,重要な「グローバル戦略」ではないでしょうか。

※日本型経営についてはこの本がオススメです。

日本型資本主義と市場主義の衝突―日・独対アングロサクソン

日本型資本主義と市場主義の衝突―日・独対アングロサクソン

  • 作者: ロナルド ドーア
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 単行本


日本型資本主義―どうなるどうする戦略と組織と人材

日本型資本主義―どうなるどうする戦略と組織と人材

  • 作者: 宮本 又郎, 服部 民夫, 加護野 忠男, 杉原 薫, 近藤 光男
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 単行本


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