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1番じゃないとダメなんですか? [マーケティング]

この部分だけが一人歩きして,大批判を受けている大臣がいましたが,この問題を考えるよい材料となるニュースが昨年末にありました。

【ウルグアイ、日本方式に変更へ=地デジ】
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201012/2010122800307

次世代のテレビ放送のシステムにはいろいろな規格(方式)があるのですが,ウルグアイはいったん欧州方式の採用を決定していました。それをあの手この手で日本方式に差し替えることに成功したという,すごいニュースです。

昨日書いたように,日本のメディアはネガティブなニュースは大きく扱いますが,このようなよい兆しについてはものすごく小さな扱いです。しかしこのニュースが意味することが決して小さい物ではありません。

例えば輸出の増大です。韓国をはじめとする新興国に押されまくっている日本の家電産業にとって,南米市場が日本方式で染まることは大きな追い風です。送電機器など関連需要も含めれば,巨大なマーケットを押さえるための大きなアドバンテージを手にしたことになります。

これまで日本の研究機関や企業は,技術開発に優れていてもその収益化については不得手とされてきました。代表的な例で言えば,コンピュータ分野におけるトロン。マイクロソフトのウインドウズよりも優れていたと言われますが,標準化争いで完敗し大化けすることはできませんでした(ただ現在も特定分野では強い力を発揮しています)。


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家庭用ビデオのVHS規格など,成功例もありますが日本の技術水準から考えると,やはりビジネスとして成功した例は少なすぎるといえるのではないでしょうか。

冒頭の「1番じゃないとダメなんですか」ではないですが,技術的に1番であっても,それを事業化につなげることができなければ,それは意味のないこと。もちろん開発者がノーベル賞をとって国威発揚,世界に貢献するというメリットはありますが,やはり国家戦略,企業戦略としてはその技術が収益につながって「なんぼ」です。

逆に言えば2番手であっても,それをきちんと事業化することができれば国は栄えます。韓国企業や台湾企業が世界市場で大きなシェアを占めているのは,まさにこれです。

技術が1番であればよいというわけではないのです。

まさにマーケティング,ビジネスモデルへの投資が不可欠なのです。


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