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また暴れ出した投資ファンド [ビジネス一般]

アメリカ系投資ファンドのスティールパートナーズが,日清食品とその子会社である明星食品の経営統合を要求してきました。

【読売新聞】 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080402-OYT1T00528.htm

忘れた頃に暴れ出すスティール社ですが,果たしてどれほど経営のことをわかっているのでしょうか。

投資ファンドを筆頭に,最近は「物言う株主」が幅をきかせています。とくに米国系のファンドは,売買差益を取り損ねると経営に口を出し,配当を上げさせようとしたり,短期的に株価を上げようと躍起になります。

しかし企業経営は「所有と経営の分離」の歴史だったとも言えます。資本家=経営者の時代から,専門経営者の時代に長い時間をかけて変化をしてきました。これは企業経営を取り巻く環境の変化が激しくなり,それに対応するには高度な専門知識が求められるようになってきたからでもあります。

そのような状況で,投資ファンドの経営に対する提言はどれほど妥当なものなのでしょうか。確かに投資ファンドには優秀な人材が集まっているのでしょうが,専門的に蓄積されているノウハウは金融に関することが中心です。マーケティングや生産管理などの知識があるといっても,それはコンサルタント的な知識であり,その業界や企業に向けて十分カスタマイズされたものであるとは,必ずしも言えません。

だからでしょうか。どうも投資ファンドから出てくる提案は多くが「合理化」,もっと言えば資産売却や人員削減といった銭勘定系に偏っているように思います。それも極めて教科書的な提案です。

これらの合理化提案は,確かに財務シート上の効率化を達成し,見かけ上はよい会社になるのかもしれません。また投資ファンド,より株の売却を有利に進めることができればよいのですから,それで構わないのかもしれません。ただ長期的に見た場合,このような合理化策は必ずしも「合理的」ではないことがあります。

例えば今回,販売促進業務の統合が提案されていますが,なるほど人の削減という面では効果的かもしれません。しかし,あえてグループとは言え2つの企業の販売促進部隊が現場でぶつかり合うことは,マイナスの効果ばかりを生み出すのではありません。熾烈な競争は,じつは営業対象先の小売企業での占有率を高める効果を生み出すこともあります。そのあたりの微妙な判断は,財務データを見ているだけでは解決しません。

株主を軽視することはいけませんが,一方で株主は経営については素人であるということも忘れてはいけません
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