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次世代DVD ブルーレイ [ビジネス一般]

ブルーレイ・ディスクとHD-DVDによる熾烈な規格争いが続いている次世代DVD。その戦いに近いうちに決着がつくかもしれないというニュースです。ソフト供給で大きな影響力を持つ,ハリウッドの映画大手6社のうち,唯一両規格に対応していたワーナー・ブラザース社が,ブルーレイ・ディスクの単独支持を決めたためです。これにより,勢力図はブルーレイ支持4社に対して,HD-DVD支持は2社となりました。
http://www.asahi.com/business/update/0105/TKY200801050158.html

ただメーカー同士の熱い競争は,消費者視点から考えるともうひとつピンときません。5年ほど前には,2007年には7割を超える普及率が予測されていた現世代DVDレコーダーですが,実際は40%台前半に留まり,需要は完全に頭打ちだと言われています。http://ma.nikkeibp.co.jp/ace/guests/articles/2007/06/0707a028.shtml

このような状況で,ハイビジョンを長時間記録できることがウリである次世代DVDは本当に消費者が支持するのでしょうか。私もDVDレコーダーは持っていますが,HDDに録画して楽しむことがほとんどで,ディスクにわざわざダビングすることはほとんどありません。ですから長時間記録できるディスクうんぬんと言われても,買い換えようという気にはなりません。

近年,経営学の世界ではデジタル家電のコモディティ化( http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/commoditize.html)への関心が集まっています。コモディティ化とは,商品そのものでの差別化が難しいため,急激な価格低下(価格競争の激化)を招いてしまっている状態なのですが,確かにデジタル家電の価格低下スピードの速さにはすさまじいものがあります。

その理由が色々と研究されているわけですが,その多くは技術開発の側面から語られています。例えばデジタル商品はアナログ商品に比べて模倣が簡単であるために,各社の製品が短期間で同質化するとか,性能という比較検討しやすい次元での競争が行き詰まっているからであるという考え方などです(非常にばっくりとした言い方なので,興味のある方は参考文献を読んでください)。

イノベーションと競争優位 コモディティ化するデジタル機器

イノベーションと競争優位 コモディティ化するデジタル機器

  • 作者: 榊原 清則, 香山 晋, 延岡 健太郎, 伊藤 宗彦, 森田 弘一, 吹野 博志, 新宅 純二郎, 小川 紘一, 善本 哲夫, 小笠原 敦
  • 出版社/メーカー: NTT出版
  • 発売日: 2006/07/13
  • メディア: 単行本

どれも一理あるとは思うのですが,マーケティング屋さんの私としては,そもそもお客様のニーズがない商品を,たくさんの企業が一斉に売り込んでいるわけですから,価格競争に突入することは当たり前なのではと考えます。

使ってみるとDVDレコーダーの便利さはよくわかります。次世代DVDも同じなのかもしれません。しかし,ビデオデッキが世の中に登場してきたときの衝撃と,DVDの存在は次元が違います。前者明らかに新しい価値がありました。マーケティングの世界では基本中の基本である,誰に,どんな価値を提供するのか。次世代DVDも単なる規格争いではなく,この部分をもう一度考えないと,規格競争には勝ったけれど,その先には何もなかったということになりかねません。ディスクへの長時間録画は,新しい価値にはならないように思います。


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