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日本からWord Excelが締め出される日 [ビジネス一般]

まだ時差ボケです。

昨夜,ちょっとだけ書きましたが,今後政府や自治体で使用されるソフトから,マイクロソフト社の製品が締め出されるかもしれません。それは,日本の政府機関ITシステム調達の基本方針となる「情報システムに係る政府調達の基本指針」が7月1日に運用開始され,そこでは調達仕様書にはオープンな標準に基づく要求要件が求められるからです。

簡単にいうと,7月1日以降に政府が買う情報システム関連の製品は,Microsoft Wordのような特定の製品ではなく,誰でも使えるような製品=オープンな標準品にしなさいというお達しです。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070629-00000004-zdn_ait-sci

すでにWordやExcelは「事実上の標準」であるため,一般的な利用者からすると「それなら今までと同じでは?」と思うかもしれません。しかし,政府の方針としては「いやいや,WordやExcelを持ってない人でも政府が作った文章が読めるようにしないとダメです」ということなのです。そうなると,誰もがタダでソフトを入手することが可能なオープンソース系=Open Officeが採用されていく可能性が必然的に高まるわけです。もちろんMicrosoft社がWordやExcelを無償で配布すれば,採用されることになりますが,それは太陽が西から昇るようなもので,まずあり得ないでしょう。

この背景には,政府という公共機関が特定の企業利益に寄与する構造を打破したいという考えがあるようですが,これはちょっと危険な考えでもあります。

確かにMicrosoftの圧倒的な独占体制は,競争を抑制し,長期的に見れば社会全体にとってマイナスの効果を生むかもしれません。ただ,この考えを推し進めると,結局のところ「無償」でないとダメだということになります。ソフト開発には多大なコストがかかりますが,そのコスト負担をした企業への「報い」がないようでは,技術開発は進展しません。

昨日のNHKのニュースでも沖縄県の職員が,タダで使えるものがあるのにお金を払うのは…というような発言をしていました。ネット社会では,無償がキーワードになりつつありますが,しかしそれはコストがゼロというわけではないことをよく考えるべきです。誰かがそのコストを負担しているわけです。

例えばGoogleでは素晴らしいサービスを,ユーザーは無償で利用できますが,そのコストは広告主が負担しているわけです。Linuxもユーザーは無償ですが(厳密にいうと,多くのユーザーは対価を払わないと使えない構造にはなってきていますが),これはそれを改良する人々のボランティアという「負担」の上に成り立っているわけです。

先日,知識の値段の話をしましたが,情報や知識に対しての対価意識が低い日本人は,このままでは世界では厳しい立場になっていくかもしれません。繰り返しますが,世の中に完全に無償のものなどありえないのですから。人にコストを押しつけているとそのゆがみは必ず自分に跳ね返ります。

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